男装した双子の妹が連れてきたのは『姫』
双子の妹がキャップを外すと、綺麗な長い髪が現れた。
そして女子力強めな女子な雰囲気を全開にした。
その双子の賢い妹は言った。
「男装して朱里ちゃんを口説いてデートして来たよ。
2回目のデートはお兄ちゃんがするんだよ」
「なんて事を!」
「もう朱里ちゃんは、お兄ちゃんの彼女さんだよ」
「なんて事を!」
朱里ちゃんと言えばあだ名が「姫」そんな美少女とすでに恋人状態だなんて!
高校に入学して、女子高に進学した双子の妹。
多分、朱里ちゃんは妹の存在を知らない。
そして僕は引きこもり気味で、高校も休みがち。
最下層男子だ。
そんな僕に変装して、どうやって口説き落としたのか?
コミュニケーションレベル1000の賢い妹なら可能だろう。
一卵性の同じ遺伝子とは思えない格差だ。
「姫」と付き合っている状態の歓喜と恐怖が同時に僕を襲った。
「明日は朱里ちゃんと2度目のデートだよ、お兄ちゃん、その対人障壁はずしていくんだよ」
強烈な人見知りである僕は強固な対人障壁を気づいていた。
☆彡
朝が来た。
眠れる筈がなかった。
2段ベッドの上で妹は熟睡していた見たいだ。
人としての器の差を考えてしまう。
同じ遺伝子のはずなのに。
「お兄ちゃん、今日はわたしを紹介するんだよ」
「2回目のデートで、もう妹を紹介するの?」
「双子の妹がいるって言ったら、会いたいって」
デートは、地元の小さな遊園地。
遊園地の最寄りの駅で待ち合わせだ。
「僕はどんなキャラでいたらいい?」
「いつも通りで大丈夫だよ」
「引きこもりの?」
「大丈夫、いつものお兄ちゃんも素敵だよ」
双子の妹に言われると、信じにくい。
所詮、身内だ。
朱里ちゃんの姿が見えた。
軽く手を振った。
可愛い。
引きこもりの僕は今まで誰かに手を振ったことがない。
この陽キャと陰キャの差は、どうしようもない。
「妹ちゃん可愛い!」
「朱里ちゃんもめっちゃ可愛いですね!」
「あれ~今日はテンション低め?」
朱里ちゃんが僕のテンションの低さを指摘した。
【今日は】ではなく【今日も】なのだが。
妹が朱里ちゃんと僕の腕を掴んだ。
3人並んで小さな遊園地に向かった。
春の日の太陽の光が眩しくそして暖かかった。
生まれた時から一緒に居る妹のお陰で、僕の対人障壁は展開する事はなかった。そのままの勢いで、僕らは3人で観覧車に乗った。
朱里ちゃんと僕は恋人設定だったが、それを飛び越えまるで家族のように感じた。
コミュニケーション能力レベル1000の賢い妹が、そう仕向けているのかも知れない。
なんだろう、凄くしあわせ。
・・・・・と、言う夢を見た。
双子の妹はベッドの二階で熟睡している。
でも、朱里ちゃんとの家族の様な感覚は心に残っていた。
「ふっ今度、話しかけてみよう」
完




