パン一斤程の幸せでいい
いつもお読みいただきありがとうございます。
特別な奇跡はなくても、温かい食パンと明日の朝食があれば、また明日も笑って歩き出せる——そんな日常のささやかな幸せと希望を込めて描きました。
少し心が疲れた夜に、そっと寄り添えるお話になっていれば幸いです。どうぞお楽しみください。
夕暮れの街角で抱きかかえた
まだほんのり温かい、食パン一斤。
ずっしりとしたその重みは
わたしの一日をそっと支えるのに十分だった。
すべてを望んでいたわけじゃない。
あの大げさな夢も、眩しすぎる光も、
すり抜けていった誰かの温もりも、
最初からわたしの手には余っていたのかもしれない。
失くしたものばかりを数えて
胸の奥が冷たく冷え込む夜もあるけれど、
明日の朝、この柔らかい耳をちぎって
一口かじる未来だけは、確かにここにある。
パン一斤程の幸せでいい。
特別な奇跡なんて起こらなくてもいい。
黄金色に焼けたトーストの香りが
小さな部屋を満たしてくれるなら、
わたしは明日も、ちゃんと笑って生きていける。
泣き顔のまま見上げた空に、
一番星がひとつ、静かに灯っていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
何気ない日の終わりに食べる温かいご飯や、ふと見上げた空の美しさなど、身近なところにある小さな幸せを大切にしたいという思いから生まれた物語です。
このお話が、あなたの心を少しでも温かく、軽やかにするきっかけになれば嬉しいです。
またどこかでお会いできますように。




