序章:女神との攻防①
私の朝は1分間の日光浴から始まる。
6時に起き、日光浴をすることで体内リズムが整う気が何となくするのだ。
その後は水で洗顔し、保湿、スクールメイクをする。
私は乾燥肌なのでスクールメイクでも保湿を考える。
メイクをしながらふと気づく。
「いつもより疲れ取れてんじゃん、あの女神ちょっといいやつかもしんないな。」
6時半くらいから急ピッチで家族の朝ごはんとお弁当を作り始める。
両親は大体4時帰り7時起き8時出勤なので極力寝ててほしい。
朝ごはんにはお味噌汁にフルーツ、サラダに玄米や焼き鮭を用意し、お弁当にはお肉やおにぎり、勿論野菜も入れる。
父や母の分には少しの合間にぱくっと食べられるよう保存が利いて美味しいものを作る。
黒ゴマときな粉のオートミールボールや、ナッツと白ゴマの米粉クッキーなどを作り置きしておいて、日替わりにしたりしている。
両親や弟が起き始める7時には大方作り終わってるので、それぞれが食卓に着いた頃にはご飯を出す。
私は作りながら食べているので、朝にプロテインを飲んでタンパク質を補給した後、制服へ着替え、髪を編み込み風二つ結びにし、8時頃に家を出る。
「姉ちゃん!今日のお弁当めっちゃ美味しそう!ありがとう!」
やっぱり優羽は愛嬌があってこちらまで元気が貰える。こんな弟の笑顔が毎日の楽しみにもなっているのに、家族をおいて異世界になど行けるわけがない。
それに、学校で助けてきた人たちも私がいなくなったらいつどんな目にあうかわからない。
そう思うとやっぱりこの世界から逃げることはできない、という気持ちが強くなる。
通学路はいつも通りだった。
角のパン屋から甘い匂いが漂い、
横断歩道では見慣れた顔が信号待ちをしている。
なのに。
世界が、どこか薄く感じた。
色が少しだけ褪せているような、現実に一枚、透明な膜が重なっているような感覚。
昨夜見た、あの庭園。
風が笑い、花が歌っていた世界。
あれが夢だったと言い切るには、あまりにも鮮明すぎた。
教室に入ると、いつも通りのざわめきが耳に入る。
「おはよー」
「昨日のテストさ、やばくなかった?」
「部活どうする?」
その中に、昨日助けた琉の姿があった。
目が合うと、彼は少し戸惑ったように、それから小さく笑って頭を下げた。
でも。
その直後、後ろの席からひそひそ声が聞こえてくる。
「またあの子の信者増えたじゃんw」
「ほんと懲りないよねぇ~www」
「自分が正しいって思ってるのが一番タチ悪いw」
言っていることがはちゃめちゃだ。やっぱり、こういうことを聞くと黙っていられない。
「そうやって陰口言ってる方がかっこわるいよ。いい加減客観視したら?それに、自分が正しいって思ってるのをやめろって言うならまずそっちが辞めてくれないと、私が言われる筋合いないから。」
そうしてまた、孤立していくことが決まった。




