序章:地球 ---“優しさの代償”④
ふと気がつくと、見知らぬ場所に立っていた。
どこだろうと辺りを見回し、しばらく歩いてみたが、そこには枯れた木と朽ちた柱がぽつぽつと立っているだけで、他には何もない。
夢だろうか、と一瞬思った。
だが、意識は妙に冴えていて、夢特有の“あり得なさすぎること”も起きない。
だからこそ、余計に現実味がなくて不気味だった。
そう思いながら、20分程だろうか、歩いていたら、突然花の香りと子供の笑い声が聞こえてきた。
何処からだろうかと耳と鼻を頼りに歩いていると、少し先に何か大きな物があるのが見えた。
そこに向けて歩いていくと、たわわに何かの実を付けた、緑が生い茂る巨木だった。
ただ、何かがおかしい。その実の皮、幹の表面、葉は虹色になっているものの、下に落ちた実の中はセピア色で、木の幹の内側もセピア色になっている。
まるで、外面だけ取り繕っているような木だ。
不思議に思って木に触れてみると、目の前が急に光った。
恐る恐る目を開けてみると、そこには綺麗な庭園が広がっていた。
色とりどりの花々が広がり、蝶が舞っている。
子供は居ないけれど、さっきのものはここから聞こえたのだと理解する。
ふと振り返ってみると、さっきの巨木があるが、色は葉が緑で幹が茶色、実が中も外も虹色という、先程よりも私たちの知る木になっていた。
「やっぱり夢……?」
頬をつねると、普通に痛い。夢ではないらしい。
その時、そよ風が吹き、目の前に道が開けた。
「この先へ行けってこと………?」
そう呟くと、頷くように世界が揺れる。
風がそよそよと笑い、花が歌い、蝶が踊るように舞う。
意を決して歩いてみると、後ろから先程より強い風が吹いて私の背中を押す。
少し歩くと、中世ヨーロッパの庭園にある東屋のような建物が見えてきた。
漫画で見るような、貴族が外でお茶会を開きそうな小さな屋根付きの場所。
私自身そういった漫画は読まないので名前は分からない。
そしてそこには、言葉では表せないほど美しい女性が静かに座っていた。
今にも消えてしまいそうな儚さをまとい、私は思わず息をのみ、その姿に見入ってしまった。
いよいよ異世界らしさが出てきました!!
もう少し序章:地球編は続きますが、少しずつ異世界が見え隠れしていきます。
お楽しみに!




