序章:地球 ---“優しさの代償”③
「ただいま〜………」
放った言葉は無情にも空に浮かんでただ消えて行く。
両親は共働きで、父は引っ張りだこの役者、母は医者である。
二人とも仕事が忙しいので、家にいる時間より仕事をしている時間の方が多い。
後、弟が一人いて、弟はサッカーのユースチームに入っていて帰りが遅い。
靴を脱ぎながら、今日の出来事をふと思い返す。
いじめることが良くない、と私は思っているので、別に正義をかざしたいわけじゃないけれど曲がったことはほっておけない。
それに、さっきみたいに嫌ってくる人もいるけれど好いてくれる人もいる。
その人たちの期待を裏切るわけにはいかない。
ソファに座り、テレビでYoutubeを付ける。
家に一人でいるとどうしても暗い気持ちになってしまうので、ポーション屋のケルト音楽や推しのメドレーを流すのが日課だ。
今日はどちらにしようか。なんとなく異世界の気分に浸りたいのでケルト音楽にしよう。
ケルト音楽を聞いていると、
「何処か違う世界へ逃げてしまいたい」
と思うことがある。それに、コメント欄や概要欄の神話や聖書の1部もさらにそれを加速させる。
音楽を聴きながら夜ごはんの準備をする。
夜ごはんはいつも、美味しくてちゃちゃっと食べられるものにしてほしいと両親からリクエストがあるので試行錯誤しながら作っている。ついでに弟にはガッツリと食べ応えがあるものも作っている
ご飯を作っていると玄関の鍵が開く音がした。それと同時に弟の元気な声が聞こえてくる。
「ただいまー!超疲れた~。何、すげーいい匂いするんだけど!」
弟の優羽は私に懐いてくれていて、私が唯一気を許せる相手だ。
「おかえり優羽。今日は炙り手毬寿司と赤身肉の煮込み、サラダと野菜スープね。白米も用意してるからおかわりはご自由に。」
「え!超美味しそう!姉ちゃん天才!ありがとう!」
優羽の笑顔は凄く明るくて純粋だ。見てるだけでこちらも光に照らされたように感じる。
「今日ポーションなんだ!いいねぇ異世界でご飯食べてる気分になる!」
「優羽が見たいテレビとかあったらつけていいからね。」
「んー今日は特にないし聴いてるわ!」
優羽がご飯を食べている間に湯船にお湯を張る。
そして優羽がお風呂に入る間にご飯を食べて洗い物をする。
両親がお金をそこそこ持っているので、我が家のお風呂にはなぜか防水のパネルがある。
そこからはバスタイムにぴったりな音楽を流したりしている。
今日は異世界の温泉の音楽でも流す。何故かとことん異世界に浸りたい気分である。
ここまでで基本20時くらいだ。
その後は自室に入り勉強をする。両親が帰ってきたら料理の説明と少しの雑談をするけれど、それ以外は基本籠って勉強をして24時に寝る。
なんとなくいい夢を見られそうでワクワクする。
今日あった事を少し思い出しながら複雑な気持ちで布団に入った。




