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私は悪を犯す、故に、世界は救われる  作者: 神月佑奈
第一章

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第一章 : トレーニング

軽やかに自己紹介をする彼の名はレイと言うらしい。


「んで、救世主ちゃんの名前は?」


「あ、すみません。申し遅れました、旭月結と申します。」


よく分からない人とはいえ、助けてくれた人だ。最大限の敬意は払うことにする。


「やだな〜そんなかしこまらなくていいのに!」


レイさんがそう言うならと、私は少し口調を崩す。


「レイさんはここへ何をしに?ウェルナ様が言っていたようなお迎え…では無さそうですし。」


「んー?俺?俺はぁ〜結ちゃんを助けに!」


私は目をぱちくりさせて聞き返す。


「私を…助けに?」


「そ!!だってぇ、急にこの世界連れてこられて何が何だか分からないでしょ?」


確かにそれはそうだ。

こんな時に聞ける人が居ると凄く心強い。


「それは確かに…そうですね。」


「でしょ!!だからしばらくここに泊めてくれれば色んなこと教えてあげる!」


食事や洗濯が2人分になってしまうが、それくらいは地球でもやってきたから慣れている。


「わかりました。ありがとうございます。」


そうして、私はレイさんと暮らすことになった。


その後は宣言通り本当に色々と面倒を見てくれていて、魔法の強化や基礎トレーニング、身体強化の方法なども教えてくれた。


「結ちゃんに足りてないのは〜まぁ、基礎の基礎だね!体力も持久力も、俊敏さも。後は躊躇ったでしょ魔物殺すの。」


全てが図星すぎて言葉が出なかった。

私は、特別スポーツをしてた訳でもなく体を動かすのが好きだった訳でもない。

それに、魔物とは言えどそう簡単に命を奪えるほどの図太さも無いのだ。


「そーんなんじゃ自分の身をほろぼすだけだよ〜?早死したくなかったら全部身につけないと。」


確かにそうだ。ここは地球とは違うのだから。


「ここは魔物が蔓延る世界だもの。弱肉強食☆てなわけで、俺がトレーニングメニュー考えてあげるから、こなしてね!」


そうして始まったトレーニングはすごく大変だった。


朝7時に起床し、2kmのランニング。

大体15分程かかってしまうので、その間にレイさんは今日のメニューを考えてくれる。


その後は、ご飯を食べ今日の予定を確認する。



「んーそうだなぁ。じゃ、今日は身体強化の練習にしよっか!」


身体強化や魔法、狩りの練習の時は外だし、魔力の制御とか座学の時は小屋の中だ。


今日は身体強化なので外である。


「じゃあ〜結ちゃん!前教えたことは覚えてる?」


「はい。身体強化をするには体に流れる魔力を意図的に強化したい所へ集め、そこからイメージを持って魔力を放出し具現化する。ですよね。」


「せーいかーい!よく覚えてるねぇ」


レイさんは時々私を子供扱いしてくる。


「馬鹿にしないでくださいよ。こう見えて……どう見えてるのかは知らないですけど、17歳なんで。」


「17〜?まだまだ子どもじゃん!」


「え……?そろそろ成人して大人になる歳ですよ!?」


レイさんはびっくりしたような目でこちらを見る。


「わぁ………結ちゃんの元いた世界の人って短命なんだぁ」


「短命………?これでも人生100年時代。前よりも伸びたはずなんですけど。」


それを聞いてレイさんは笑い出す。


「100年!?100年しか生きられないの!?短いねぇ!」


レイさんは本気で驚いたように目を丸くしていた。


「……え?」


思わず聞き返す。


「だって普通に考えて短いでしょ~。こっちの人間は大体300年くらい生きるし。」


「さ、300……?」


地球とは全然違う...。


「魔力あると体の劣化も遅いしねぇ。ちゃんと鍛えてる人なら500年近く生きる人もいるよ!」


さらっと言うが、私の頭は追いついていない。


「500……」


思わず空を見上げる。


今の話が本当なら、この世界の人たちは私の3倍近く生きる計算になる。


「まぁ結ちゃんは救世主だからもうちょっと伸びるかもねぇ♪」


「……え?」


「魔力の総量多いし。」


さらっと恐ろしいことを言う。


「救世主って……寿命まで違うんですか?」


「違うよぉ。普通の人より魔力多いし、神様の加護も強いし。」


まさかこっちの世界に来たことで寿命まで延びるとは。

魔力を得ることでそんな変化があるとは知らなかった。


にしても、レイさんは20代半ば程に見えるけど幾つなのだろうか。


「そう言うレイさんはいくつなんですか。」


「ん?俺ぇ?俺はぁ...。」


そう言って暫く指折り数えた後、笑顔で答える。


「まだ50歳かな!全然若い方だよ。」


「50歳......それで若い方......。」


私は感覚の違いにめまいを起こしそうだった。


レイさんは肩をすくめた。


「まぁ!そんなことは置いておいて!」


そう言って、ぱんっと手を叩く。


「はい!トレーニング再開!」


その言葉に一気に現実に引き戻されるのだった。

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