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私は悪を犯す、故に、世界は救われる  作者: 神月佑奈
第一章

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第一章 : 魔物と狐目の青年

血抜きをした後は、可食部位とそうでない部位を分けなければならない。


「今日殺した魔物は......アゲーダ、かぁ。牛型の魔物みたいね。」


日記と一緒に置いてあった簡単な魔物図鑑を開きながら、倒した個体を改めて観察する。


角は小さく、体つきは牛に似ているけれど、足が少し長い。

背中の毛は固く、ところどころに黒い模様が入っている。


図鑑のページを指でなぞる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アゲーダ


温厚な草食魔物で、単体で行動することが多い。

肉は癖が少なく食用に向くが、胃袋は臭いが強いため廃棄推奨。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「よかった……食べられるやつだ。」


少しだけ肩の力が抜ける。


ウィンドカッターを使い、図鑑に書いてある通りに解体する。


まずは腹側に浅く刃を入れる。

深く入れると内臓を傷つけてしまうから、慎重に。


「えっと……ここから、こうして……」


思ったよりも皮は厚く、力が必要だった。


刃を滑らせながら、ゆっくり切り開いていく。


解体を進めると、なんともいえない温かい匂いがふわっと広がる。


思わず顔をしかめた。


「……これは慣れないなぁ。」


内臓を傷つけないように取り出し、地面の横に置く。

図鑑に書かれている通り、胃袋はかなり強烈な匂いだった。


「うぇぇ……これは無理。」


顔を背けながら土をかけておく。


大まかに分け終えたら、次は肉を部位ごとに切り離していく。


肩、背中、腿、図鑑によると、この辺りが一番食べやすいらしい。


ナイフで筋を切りながら、大きな塊に分けていく。


「重っ......」


肉の塊を持って唱える。


「マジックボックス。」


マジックボックス内なら時が止まるし、いくらでも持ち運べるから楽だ。


「とりあえず……5日分くらい?」


後で日記にあった方法で半分くらい干し肉にしようかな。


背中の肉と腿肉を中心に切り分け、マジックボックスへ収納していたところ、コツン、と何か硬いものに刃が当たった。


「……ん?」


肉の奥、肋骨の近くに、指先ほどの小さな石が埋まっていたのだ。


薄い灰色で、わずかに光っている。


「これ……もしかして!」


図鑑をめくる。


その正体は数ページ先に書いてあった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔石


魔物の体内に生成される魔力結晶で、燃料、触媒、道具素材などに利用可能。

小型個体でも低確率で生成され、魔物の種類によってその色は様々である。

上位種の魔物の魔石の方が優れた魔石であり、より高値で売買される。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「やっぱり!魔石だ!」


思わず声が出る。


指でつまむと、ほんのり温かく、微かに、体の中の魔力と共鳴するような感覚があった。


「へぇ……凄い」


光にかざしてみると、少し曇った水晶のようだ。


とりあえず袋の小さなポケットにしまっておく。


肉の処理を終え、改めて周りを見る。


森は静かだった。風が葉を揺らしているだけ。


ただ、あまりにも静かすぎることに気が付く。


「あれ、さっきまで小鳥の声とか聞こえてたんだけどな。」


異様な静けさに、危機感を覚え周囲を警戒していたその時。


バリバリバリバリと音を立てて右方向1kmあたりだろうか、木がなぎ倒されていった。


「え...。」


木を倒した何かの発生元を見やると、そこには大きなタコの魔物らしきものがいた。


「あれ、よく漫画に出てきた...気がする。クラーケンだっけ。でも海にいるんじゃないの?」


急いで図鑑で調べると、クラーキングと書かれていた。


クラーケンの中でもたまに突然変異で陸へ上れるようになるらしいのだ。


肉食で、血のにおいに敏感らしい。


「......!血の匂い、ここで解体したから!」


大きな目をギョロギョロさせている。こちらを探しているのだろうか。


そう考えていた矢先、ふと目が合ってしまう。


「どうしよう、解体に魔法使ったりしてたからもうMPがほとんど無い!」


逃げるにしても、パッと見高さ200mはありそうなクラーキングから私の足で逃げ切れる気もしない。


なんせ結界まで1km程ある。


それでもとにかく急いで結界に向け走る。


その時、私のすぐ横100m位の気が薙ぎ倒されてしまった。


私は怖さのあまり腰が抜けてしまう。


もうだめだ、そう思った時


「ホーリーレイン。」


急に詠唱が聞こえたかと思うと、クラーキング目掛け無数の光の矢が降り注いだ。


「だぁめじゃ~ん。こんなところで解体しちゃ。結界の中でやらないと。救世主ちゃん♡」


そして、そう言いながら狐目に緑髪の青年がどこからともなく現れた。


「あ、ありがとうございます!貴方は一体...?」


「ん~俺?まぁ後で説明するからさ!とりあえず~マジックボックス持ってるんでしょ?このクラーキングばらばらにするから収納してくれない?」


どことなく不思議な雰囲気のする人だ。けれど、さっきの魔法と言い、今も素早くクラーキングを分解しているのを見る限り実力のある人なんだろうと思う。


それにしても、何故私が救世主だと知っているのだろう。まだ1カ月経っていないのに。


「わかりました!」


とりあえず私は言われたとおりにクラーキングを収納していく。


「マジックボックス。」


合計10回ほどだろうか、マジックボックスを展開するとしまいきることができた。


「じゃ、とりあえず結界の中入ろうか!話はそれから♪」


そうして、言われるがまま結界の中へ戻ることとなった。

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