第一章 : 魔力
あれから、幾つかの魔法を試してみたところ、それぞれの魔法についてなんとなく分かってきたと思う。
”ライトアロー : 杖を使うと、40~70cm程先まで光の矢を飛ばすことができる。”
”ウォータースプラッシャー : 杖を使うと、杖の先端から水を出すことができる。”
”ファイアーボール : 杖を使うと、直径15cm~30cm程の火球を出すことができる。”
”ウィンドカッター : 杖を使うと、30cm程の大きさの風でできた刃を飛ばすことができる。”
”アースクラッシュ : 杖を使うと、周囲半径30cmの土を物理的に壊すことができる。”
”プレイグラウンド : 杖を使うと、周囲半径30cmにいる生き物に対して癒しを与える。”
それぞれの魔法はざっとこんな感じだ。
「なるほど、聖魔法とか祈魔法とか、聞き覚えがなかったけれど聖魔法が光属性の攻撃魔法で、祈魔法が癒しとかそっちってことか......あ、一応日記に書いておくか。」
とはいえ、まだ魔法の使い方がよくわからず、加減も出来ないのでファイアーボールだって火球の大きさがまちまちだ。
「えっと魔法の使い方......あったこれだこれだ......体の中に魔力が循環しています、まずはそれを認知するところから始めましょう、かぁ...」
本によると、どうやら体の中には魔力が循環していてそれを認知するところかららしい。
「深呼吸をしながら、おへそのあたりに力を込めてみましょう...そうすると暖かいものが体を循環しているのが感じられれば魔法を使えます...なるほど、とりあえずやってみるか。」
深呼吸を何度か繰り返しながらおへそのあたりに力を込めてみる。
意識を落とす。
視線ではなく、感覚で。
お腹の奥に、力を込める。
筋肉が少し緊張しているだけで、最初は何も感じなかった。
吸って。
止めて。
吐く。
このセットを何度か繰り返してみる。
「ん……?」
ほんのりと。
ぬるい水のような感覚が、内側を流れた。
血流とは違う。鼓動とも違う。
もっと静かで、でも確かにそこに流れているのを感じた。
「これだ……!」
集中を切らさないように、目を閉じる。
すると、その温かさは細い筋になって、
背中、腕、指先へと広がっていくのがわかった。
循環している。
本当に、巡っている。
「すご……」
思わず息が乱れる。
その瞬間、感覚が霧散した。
「あ、消えた」
焦ると、消える。
もう一度。
ゆっくり息を吸って、意識をお腹に...
温かい流れが腹から生まれ、
胸を通り、肩を抜け、指先へ。
そこで、ふと思う。
今魔法を放てば上手くいくのではないかと。
試しに庭に出て近くにあった木に向かって、風の刃が30cmの刃渡りで3つ出るようイメージしながら唱える。
魔力を極力消費しないように...
「ウィンドカッター」
右手に持った杖の先端に、
その流れを集めるイメージ。
次の瞬間、ヒュンッ、と乾いた音と共に空気が裂ける感覚が、腕を通って伝わる。
三日月のような刃が3つ、一直線に飛んだ。
ズバッ。
目の前の木の幹に、浅いが確かな切り込みが入る。
「……できた」
しかも、ほぼ同時で、大きさも揃っている。
初めての成功に胸が高鳴る。
今までの感覚とは明らかに違い、ちゃんと制御して出せた。
試しにもう一度。
今度は刃は2つでさっきより大きめのイメージ。
「ウィンドカッター」
ヒュッ、ヒュッ。
2枚。
大きくした分やや速度は落ちたが、形は安定している。
「……やったぁ!」
と、その時。
「……あれ」
少し、視界が白む。
腕が重い。
「どうしたんだろう……?」
慌てて呼吸を整える。
「そういえば、魔法を使うのにMPってあったよね。」
そう思い、ステータスを確認すると、案の定減っていた。
「無限じゃないし、即回復もしない、と」
戦闘になったら、撃ち放題は無理、かなぁ。
「そういえば、MPの最大値って増えるのかな。後で調べてみようかな。」
日も暮れてきたので今日はここまでにしよう。
無理は禁物だしね。




