第一章:日記
遠くから見ると小さめに見えたその小屋は、近づいてみたら思ったより大きかった。
3階建てくらいの大きさがあり、西洋風で景色に負けず劣らずの外装である。
周りと違うことといえば、それが暖かみのある経年劣化の仕方をしているということ。
とは言っても、古びた小屋という訳では無く、十分に綺麗で過ごす上で困ることは無さそうだ。
小屋に近づくと、何か薄い膜のようなものを通り過ぎた感覚があった。
「………?なんだろう今の。」
不思議に思いながらも、小屋の中へ入る。
「わぁ………!広い!」
中は2階建てで、色々な道具や本、キッチンにはいつも見ているコンロとは少し違うものが置いてあったり。
照明はアンティークのようだけどかなり明るい。
そして、1階から2階はリビング部分が筒抜けになっているため、2階の廊下にある窓からの木漏れ日が暖かくて心地よい。
窓からの日が当たるところにはハンモックが吊るされており、きっと前の住人…もとい前の救世主の人がそこを好き好んでいたように見受けられる。
そういえばウェルナ様が過去の救世主達の日記を読めるって言ってたっけ
そう思い、本棚へ向かうと、そこには日記のみならず図鑑や物語、レシピ本なんかもあったりした。
こんなに沢山本があったけれど、日記はどれだかすぐにわかった。
日記は全て赤色の表紙で、背表紙にはおそらくその代の救世主の名前であろうものが書いてあったからだ。
ただ、筆跡が全て同じだったので、予めウェルナ様達が用意でもしてくれているのかと思い部屋を探すと、自室と思われるところに丁寧に1ページ目が開かれた状態で私の分も置いてあった。
本棚の前に戻り、どの日記を読もうかと眺めていたら、1つの日記が目に止まった。
“-- 櫻井 龍我 --”
「この名前、もしかして日本人…?」
もしかしてと思い開いたその日記は、やっぱり日本人の日記だった
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〇✕年◻️月△日(西暦)
いつかこの日記を読む自分へ、そして次の救世主の人へ。
こんにちは、私の名前は背表紙に書いてあるとおり櫻井龍我です。
地球って星の日本って国からやって来ました。
正直、地球が世界の名前を示すのか、ヴェルネスがこの星の名前なのか世界の名前なのか、よく分からないけれど、とにかく日本から来ました。
歳は18で、神様とは見える範囲にある物を自在に動かせる力をもらいました。
あ、確認方法はステータスって言ったら色々出てきました。
日記、そこからも書けるみたいで、なんか色々メモ機能とかもありました。スマホみたいな感じで便利です。
レシピ本には日本の料理の再現とか書いていこうかなって思ってます。
もし、日本人の人がいたら参考にしてください。
俺、料理好きなので自信あります。
とりあえず眠いので寝ます。お休みなさい。
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「日本料理!!よかったここの植生とか違うだろうから助かった……」
正直なところ、慣れない世界で慣れ親しんだものを食べられるというのは結構大きい。
食問題はこれでどうにかなりそうだ。




