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ケモミミの惑星☆開拓史 ~AIに「不要」と判定され追放されましたが、もふもふのケモミミたちが暮らす惑星に流れ着いたので、開拓して念願のスローライフを目指します! ~  作者: 熊吉(モノカキグマ)
:第4章 「冒険に出かけよう」

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・4-12 第51話 「埋もれていたもの」

・4-12 第51話 「埋もれていたもの」


 遺跡ダンジョンの内部で最初に全員で集合した場所は、ここには本当に人間の遺物が眠っているのか、と疑いたくなってしまうほどに自然な印象だった。

 横に広がった木の根に支えられた天井や側面の壁、足元もみな土がむき出しで、分かりやすい金属とかコンクリートとか、そういうものの気配はない。


 だが奥へと進んでいくと、すぐに人工物が混じるようになっていった。


「驚いた。こりゃ、建材用の合金だ」


 茶色の土の中からむき出しになっていた金属の塊の先端を観察し、それが明らかに人工的に生成され、目的をもって形作られたものであると理解した穣司は思わず、双眸そうぼうを見開いていた。


 一般的な建材として用いられていた、ありふれた鋼鉄などではない。

 地球上にいくつも建設されていた巨大な階層都市や、宇宙基地などの構造材に用いられる、さらに強度を高められた合金だ。

 星間連絡船であるケンタウリ・ライナーⅥや、脱出艇にも用いられている。


 それが、埋もれている。

 自然に出来上がるはずのないものだ。


「ジョウジ。それ、何か凄いの? 」

「ああ。……コイツをたくさん集められたら、脱出艇の修理もできるし、いろんなものが作れるようになる。

 といっても、掘りだすのは難しそうだがな」


 興味を持ってむき出しの構造部材に顔を近づけたヒメの問いかけに、視線を逸らすことなく答える。


 材料としては、申し分がない。

 だが残念なことに、今は回収する術がなかった。

 地中に深く埋まっているから簡単には掘り出すことができないし、露出している部分だけを切断しようと思っても、そうすることができるだけの性能を持った工具がなかった。


 鋼鉄よりもさらに頑強な構造用の素材だ。

 相応の高温を発するバーナーや、強力なカッターが無ければ歯が立たない


 残念ではあったが、しかし、これではっきりとしたことがある。

 この遺跡ダンジョンは間違いなく、人類文明に由来するものだ、ということだ。


 まったく未知の異星人による高度な文明によるもの、と考えることもできたが、その可能性はゼロではなくとも、限りなく小さい。

 なぜなら、黎明期れいめいきとはいえ星間航行を可能としていた当時の人類はまだ、自分たちに匹敵するような異星文明をその気配さえも発見できていなかったからだ。


 ケモミミたちの話といい、やはり、この惑星には人間がいたのだ。

 それも、大規模な基地、いや、都市を築くほどに深く関与している。


「こういうのは奥にもっとたくさんあるよ。

 これ以外にもいろいろと。

 おいらにはよくわからないものばっかりだけどね」

「そ、そうなのか。

 とにかく、今は先に進んでみよう」


 有用なものを持ち出すにしても、まずはこの遺跡ダンジョンの全体像を確認してからのことだ。

 自分にそう言い聞かせた穣司は、ハスジローの案内でさらに奥へと進んで行った。


 確かに、様々な遺物が眠っている。

 構造用の特殊合金だけでなく、一般的な健在である鋼鉄製の鉄骨や鉄筋、コンクリートも使われているし、電力が通っていた頃は点灯していたはずの照明装置が点々と存在している。


(ここは、なにかの大きな建物の中なのか? )


 破損が著しくところどころで崩壊し土で覆われていたものの、そこは巨大構造物の中に作られた、いわゆるメンテナンス用の通路であるらしかった。

 管理がしやすいように軽車両で行き来できるだけの広さの道と並行して、電源ケーブルや様々な配管がひとまとめになったパイプがずっと続いている。


 元メカニック・エンジニアである穣司にとっては、見慣れた景色だった。

 巨大な宇宙船の内部や停泊地となった宇宙ステーションには必ずこうした場所があって、しばしば彼の職場ともなっていたからだ。


(とすると……、やっぱり、あるよなぁ)


 そこにあって然るべき、と思うものが、まさにそこにある。

 配電盤(当然電源は入らないが)の位置や配線のしかた、メンテナンス用のハッチの間隔、安全な作業を促すための様々な標語や、警告の文言。

 壊れてしまっているが、見慣れた光景を思い起こさせる、懐かしさすらある風景が広がっている。


 ここは、間違いなく人類文明と繋がっている———。

 そう強く実感することができた。


 ハスジローの記憶を頼りに地図を作っている最中、規則性のようなものがあるなとは思っていたのだが、その理由はこの遺跡ダンジョンがメンテナンス通路に沿って形成されているせいだった。

 等間隔で出入りのためのハッチが用意されている。

 入ることのできる部屋や空間が一定間隔であったのだが、これが理由に違いない。


 大抵の部屋は通路と同様に壊れ、土や岩盤によって押しつぶされてしまっていたが、比較的損傷の少ない場所もあった。

 そういう所には、電源さえあれば今すぐにでも機能しそうな機器がそのまま残されている。


 貴重な発見だ。

 ケモミミたちも興味津々にそういった機械類を見物していたが、穣司が触ると危ないかもしれないから、ときつく注意したおかげか、不用意に近づこうとはせず節度を守ってくれている。


 ハスジローが持っている鉄パイプを見つけた、という部屋もそのまま残っていた。

 そしてそこには、工事などを行う際に用いられていたのか、鉄パイプなどを始めとしたさまざまな資材や、それらを結びつけるクランプと呼ばれる接合部品、そしてこれまた希少な工具類などが大量に積まれている。

 工事用の仮設の足場やフェンスを作るために用いられていたものだ。


 これで、直面していた問題のかなりの部分が解消できるだろう。


「ここが、この遺跡ダンジョンの一番奥だよ。

 できるだけ掘り進めてみたんだけど、おいらだけじゃどうしようもできなくって」


 やがてたどり着いたのは、これまで進んで来たメンテナンス通路が完全に圧し潰されてしまっている行き止まりだった。


「え~、もう、お終いなの~!? 」


 これまでずっと楽しそうにしていたコハクから、心底残念そうな不満の声があがる。

 地下に入り込んでから二時間程度は経過しており、これまでずっと探索を行って来たのだが、それだけでは満足できなかったらしい。


「そんなこと言われてもなぁ。

 おいらたちじゃ、これ以上先までは掘り進められないし」

「む~。そ~だけど、なんか、つまんない! 」


 困り顔でハスジローがたしなめたが、コハクは頬を膨らませるだけだ。

 親しい、兄のような相手の前だから、甘えているのかもしれない。


 そうやってワイワイ賑やかにしている横で、穣司は通路の天井付近をライトで照らしていた。

 ここまでは、思った場所に、思った通りのものがあった。

 だとすればここにも、アレがあるはずだ。


「あった」


 それはすぐに見つかった。

 行き止まりだと思っていた先にまだ通じているかもしれない、抜け道になるかもしれないもの。

 通風孔だった。


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