第五十二話 「再逅(さいこう)」
「つまり、お前はその店で
いまそこにいる-------」
「・・・・」
景子の話を聞いて、鮎人はステージの下にいる
先程までこの事件を追っていた仲間だった筈の
イに目を向ける
「その、イとその店で関係を持ち、
そして、俺がこの事務所で
働いている事を知った....」
「・・・・そう....」
「(・・・・)」
驚く程冷たい、ゾッとする様な表情で
景子はステージ上の鮎人を見上げる
「許せねえんだよ・・・っ!」
"ズサッ!"
「弘也・・・・!」
「同じ、学園に通ってた筈の俺達の中で、
お前だけが、いい生活を送って、
俺達を警察に突き渡したお前が
いい暮らしをしてやがる・・・」
「(・・・・)」
以前の弘也からは有り得ない様な口振りで
話す弘也を見て、鮎人は思わず真顔になる
「なあ・・・・ 鮎人・・・・」
"ズサッ!"
「お、 -------ッうわっ!」
"ドンッ!"
ステージの下にいた、弘也、景子、洋子、が
脇にいた孫を突き飛ばし、
国東を先頭にステージの上まで上がって来る
「-------鮎人さんッッ!」
「・・・・」
「鮎人ぉォオ・・・・」
"ジリッ ジリリッ!"
「それ以上近づいて来るなっ...!」
「・・・・許せないんだよっ....!」
「・・・・!」
"ジリッ ジリリッ!"
「おい....っ!
ステージの下にいた国東は、
階段を上りステージの上に来ると
ポケットに手を突っ込みながら
徐々に、鮎人の側までにじり寄って来る....
「どうする気だ....っ」
"ジリッ! ジリリッ!"
「"あの時"の再現だな-------」
「国東.....っ!」
「あの時は、お前が警察を呼んだせいで、
俺はお前を殺す事はできなかったが、
今は、どうだ....?」
「・・・・!」
"ガタッ!"
「ッ・・・・!」
鮎人が刃渡りのあるナイフを手に持ちながら
自分に近寄って来る国東から距離を取ろうと、
自分の側にあるステージの階段を見ると、
その階段から、"弘也"が登って来るのが見える...
「お、オイ-------っ
「鮎人ぉぉオオオッ--------!」
「-------鮎人さんッ!!」