第四十五話 「逆打ち」
"ガターーーーーーーーーンッッ!!
「な、何だ!?」
「あ、あそこっ!」
"ギィ...."
「あ、あれ、カードルームの...!」
「・・・・!」
シアターホールの隣、
イの推理によって
今回のオーシャニア・クルーズ内で起きた
連続殺人事件の犯人だと名指しされた鮎人を
閉じ込めていた筈のカードルームの扉が、
派手な音を上げ開いたのを見て
ステージ上に集まっていた
全員の視線が扉に釘付けになる!
「あ、あれ--------!
「・・・・!」
"ダッ!"
「あ、イ---------っ!」
「(・・・・!?)」
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「な、何だ・・・?」
"ギィ...."
ホール内にいた全員が突然開いたカードルームの
扉の前に集まると、その扉の中から
つい今までステージ上で全員に事件の
状況を伝えていたイが出て来る
「あ、鮎人はいたのかっ!?」
"ガバッ"
「・・・いや、中には、
誰もいませんでしたね...っ!」
「そ、そんな....」
"ギィィィィ...
部屋の扉が突然開いた事にホール内の全員は
その扉の内側、カードルームの中へと
慎重に入って行くが、そこには
自分達がこの部屋に閉じ込めていた筈の
"並河 鮎人"の姿がどこにも見えない
「ど、どこに行ったんだ....っ?」
「(・・・・)
知りませんよ・・・っ!」
「し、知らないって...」
何故かあせりを感じている様な態度で
部屋の中から出て来たイの言葉を聞いて、
孫はイの両肩を掴んでいた手を外し
地面にへたり込む
「じゃ、じゃあ、鮎人は--------
"ジジッ!"
「!?」
「・--------- ッ!?」
「皆さん---------....
"ジジジッ!"
「あ、鮎人っ!?」
「な、何で---------」
"ジジッ---------"
シアターホールの隅に設置された
スピーカーの中から突然声が聞こえ、
カードルームの扉の前に立っていた
スタッフ達が暗がりの中から
ステージの方に向かって振り返ると、
そのステージの上に先程まで
カードルームに閉じ込められていた筈の
"並河 鮎人"
が頭上から降り注ぐ照明の光に照らされながら
ステージ上に立然と立っている姿が見える
「あ、鮎人.....!」
「な、何で--------っ!?」