第三十五話 「流嘘の砂」
「お、おかしいだろ....!
お、俺が犯人なんて....っ!」
「・・・話を最後まで聞け。」
「・・・・!」
「鮎人、少しイに話をさせてくれないか」
「・・・・"!?"」
慌てた様子で鮎人がイに言葉を返すが
イ、そして自分の側にいる孫も
まるで自分の言葉に取り合わず
自分が犯人であると言う推論を確かめるため
話を先へと続ける
「・・・・」
"俺は犯人じゃ無い"
その事は、鮎人が一番よく分かっている
「な、なんなんだ....っ」
「鮎人・・・!」
孫は、窘める様な表情で
地面に膝を崩している鮎人を見下ろす
「孫さん...っ」
「結局の所、この船の中で
自由に動き回っていたのは犯人を探すために、
その"証拠"を突き止めるために
この船の中で自由に動き回っていた
俺、澪、そして
"鮎人"
の三人だけだ....」
「た、確かに・・・」
「そう考えれば、私達以外に四人を殺せたのは
犯人を探してた三人しかいない....」
「(そんな事あるか....っ)」
ザワ
ザワ
ザワ
「・・・でも、私達は常に鮎人さんと
一緒に行動をしてましたよね?」
「澪・・・」
「そ、そうだっ」
すぐ側に立っていた澪が、自分を庇う様な言葉で
イに話しかけるのを見て
鮎人は思わず澪に激しく同調する
「・・・残念だが」
「・・・??」
「イ....?」
"ピッ!"
「-------??」
「な、何だ、これ?」
「だ、第一の殺害現場か?」
"ジジッ---------
「そう・・・・」
「あ、あれ-------」
「"鮎人"か!?」
「(な、何で-------)」
「・・・・」
イが自分のパソコンのマウスを操作すると、
ステージ上に第一の殺害現場である
"女子トイレ"のVR映像が浮かび上がり
そしてその映像の中に
女子トイレの前で何かふらふらと
不審に動き回っている
"男"の姿が映し出される
「な、何で------っ」
「あ、あれ・・・・」
「"鮎人"さん?」
「・・・そう言う事だ...」
"ジジッ-------!"
「・・・・! あ、鮎人が...」
「ト、トイレの中に入ってくぞ-------??」
「(な、--------...ど、どう------)」
「あっ!」
"ガタンッ!"
「あ、亜矢子-----!」
「・・・俺も驚いた...」
「・・・・っ」
ステージ上に映し出された
犯行現場の"逆再生映像"をイが見上げる
【なっ....! 鮎人さんっ!?
な、何を------っ!】
【・・・すまない...】
「あっ------!」
"ガタンッ!"
「あ、亜矢子-----っ!」