第二十六話 「逡巡」
「そして、澪がその浮かび上がった
VR映像の指示に従って
女子トイレに入っていくと、
そのトイレの個室に
亜矢子さんが倒れていた・・・・」
「それが、第一の事件って事?」
「・・・そうです」
鮎人が、ステージ上で第一の殺害現場の状況、
そして映像を逆再生しながら
その事件の状況を全員に説明すると、
ステージの下にいた副代表の小澤が
鮎人を見上げる
「-----でも、それが何だって言うの?
結局の所、その時間アナタ達は二人でいて
他のスタッフ達はその場所に
出入りしていなかったでしょ?
・・・これは、他のスタッフの話でも
確かじゃない」
「・・・そうですね。」
"フッ"
少し曖昧な態度で返事をする鮎人に
ゴーグルを掛けた小澤は軽く
嘲る様な笑いを見せる
「別に状況を説明するだけなら
誰だってできるじゃない?
それに、さっきのアンタの話を聞いたら
犯人は複数-------... その筈でしょ?」
「・・・・」
「まさか、自分達が犯人とでも言いたいワケ?」
「---------...」
小澤の言葉に鮎人はステージ上に広がっている
山口 亜矢子が倒れていた
女子トイレのVR映像に目を向ける-------
「とにかく、今回も犯行は女子トイレ。
女性しか出入り出来ない場所で
犯行が行われた------」
「・・・・」
「イ-----...」
「ああ」
"ジジッ--------