第十五話 「パラドックス」
「ぎゃ、逆再生------?」
「ご、ゴーグルで何か見えるのか?」
「・・・・」
"カチャ カチャチャチャチャチャチャチャ!"
「・・・・?」
ステージの中央に立った鮎人が、
ステージのすぐ下にいるイに目配せをすると
イは、自分の手元に置かれていたパソコン内の
映像編集ソフトを立ち上げる
"パッ"
「わっ!」
「な、何だ?」
「これ-------」
「"二等室"か?」
"ジィィィィイイイイイイイイ---------....
「も、もしかして伊坂さんの--------」
RS事務所の全員が、イの部下に手渡された
ゴーグルを頭にはめると、
ステージの上、鮎人が立っている場所に
第四の被害者、つい先日事件が起きたばかりの
伊坂 大の自室がステージ上に
立体映像として浮かび上がる!
「じ、事件現場の再現って訳か-------」
「みんな、ちゃんと、映像は見えてるか?」
"ボオオオオオオオオォォォォ"
「あ、ああ------」
「こ、こんなの見せてどうするつもり-------?」
「・・・・」
全員が、ステージ上に現れた
"伊坂"の自室に驚くのを横目に、鮎人は
ステージの隅に置いてあった
パソコンを取り出す--------
「これが、伊坂の部屋か?」
「まあ、部屋の間取りはウチらの部屋と
ほとんど同じだからな...」
"カタ カタタタ...."
RS事務所のスタッフが
ステージ上に映し出された
伊坂の自室に目を向けると、そこには
低い天井、そして六畳程の絨毯が敷かれた
狭い部屋、さらには部屋の一つの壁が
一面ガラス張りになっていて
そのガラス張りの窓の外には、海が見通せる
小さなバルコニーの様な物が
ついているのが見える...
「それじゃあ-------」
"カタッ"
「・・・・!」
"パッ"
「これ------?」
「"デッキ"か-----?」
「・・・・」
伊坂の自室が映し出されていたと思った束の間、
すぐにステージ上の部屋の映像が切り替わり、
鮎人がいるステージの上には、
船のデッキ、建物の外の船の甲板部分が
映し出されているのが見える
「い、伊坂っ!」
「-------....!」
鮎人が、ステージの下にいるイに目配せをすると
イが、伊坂の自室の真下にあるデッキ部分の映像を
犯行時刻まで逆再生し始める....
"ジィィィイイイイイイイ---------
「それじゃあ、事件を、
検証して行きましょう--------」
「け、検証って------」
「これで犯人が分かるって言うのか?」
「・・・・」