第十二話 「シアターホール」
「な、何だ?」
「犯人が分かったって言うの?」
ガシャッ
ガタッ
「お、おい、こんな時に出歩いて平気なのか」
「・・・大丈夫。孫さん」
「イ------」
オーシャニアクルーズ、最下部、
シアターホール。
「な、何だ、明かりは無いのか?」
「ずい分暗いな....」
イによって呼び出された今回、
凄惨な殺人事件の現場となった
オーシャニアクルーズの船内、
広い、観覧用の椅子がいくつも並べられた
劇場の様な部屋の中で、今回この船に乗船した
RS芸能事務所のスタッフ全てが集まる....
「こんな所に呼び出して-----
お前、何かあったらどうするつもりだ?」
「イさん-----... こんな場所に
皆さんを呼び出したところで-----
悲惨な現実は何も変わりませんよ-------」
「・・・・」
"ギュッ"
「・・・・」
室内が暗いせいか、いま誰が喋っているかが
あまり判然としないが
イは咥えていた煙草をエントランスホールの
絨毯の上に投げ捨てると、そのまま
その煙草の吸殻を足で踏みつける
「おい、イ------
"バッ"
「な、何だ!?」
「あ、明かりが-------
"バアアアアアアアアアアァァァァァァ--------
「む、向こう」
「-----"鮎人"か?」
突然暗い劇場内、十名程人がいるホールの最奥、
ステージの様な舞台が設置された場所に
明かりが灯り、部屋の中にいる全員の視線が
一斉にステージに集まる
「鮎人・・・・」
「な、何だあれ、"ゴーグル"か?」
「みんな-------....」
"トンッ トンッ トンッ トンッ...."
突然明かりの点いたステージ上に
"並河 鮎人"の姿が現れると、
部屋中の視線がステージ上の鮎人に集中する
「おい、何のつもりだ!」
「な、何してるんですか!?」
「・・・・」