表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/54

第一話 「VR客船」

挿絵(By みてみん)


「あ、鮎人さん-------っ!」


「・・・どこだっ!?」


「------え....??」


"ガタッ!


「あ、ちょ、・・・・!」


旅客船、


"オーシャニアクルーズ"


「------今度は、誰が死んだんだ!?」


「ッ・・・」


"ガタンッ!"


「(また、こうなるのか------!)」


「あ、鮎人さん!」


「-------退けッ!」


「あッ!」


"ガタタッ!"


オーシャニアクルーズ、船内。


「(もう、こんなのはたくさんだ------...


自室で、今まで起きた事件の整理をしていた


マネジメント会社に籍を置いている


"並河(なみかわ) 鮎人(あゆと)"


は、自分がマネジメントをしている、若い女性


"吉川(よしかわ) (みお)"


が慌てて部屋に入り込んで来た事に、


すぐに自室の扉を開け船内の通路へと飛び出る!


「(宏美-------...!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「おいっ 鮎人! 


 -----そっちにあるビール取ってくれ!」


「・・・ああ」


"ガシャッ"


オーシャニアクルーズ。


「(・・・・)」


百名ほどは乗れそうな広い船のデッキの上で、


鮎人が船の端の手すりから


クロムオレンジに染まりかけた洋上の


海を眺めていると、すぐ後ろにいた


鮎人が所属する芸能マネジメント会社の


関連会社で働いている在日韓国人、


"이강린'(イ・ガンリン)"


が、氷を入れたアイスペールの前に立っていた


鮎人に向かって話しかけて来る


「どうした・・・アユト」


「・・・どうしたって、何がだ?」


特に何かをしていた訳でも無く、


ただ、夕暮れに染まる船の上から辺りの景色を


眺めていた自分を心配そうな目で見ている


イの言葉を聞いて、鮎人は


不思議そうな表情を浮かべる


「------"ヒロミ"の事だろ?」


「・・・・!」


鮎人に向かってイが女の名前、


それも日本人の女の名前を口にすると


先程まで落ち着いた表情で


船の下の景色を見下ろしていた


鮎人の表情が大きく変わる


「・・・別に。」


「・・・・」


"ガシャッ!"


「------おっと」


"パシッ!"


「------とりあえず、向こう、


 もうデキあがってるみたいだぞ?」


「・・・ああ、後で行く」


「・・・・」


"ガシャッ"


イは、鮎人が投げたアイスペールに入った


ビール瓶を掴むと、そのまま少し離れた場所の


一段高い場所のデッキの上に置かれた


テーブルの周りで騒いでいる、


事務所のスタッフがいる方へと向かって


歩いて行く


「(宏美、か------...)」


「アハハ!」


「それじゃ、今はフォロワー二万人もいるの!?」


「・・・・」


"ザアアアアアアアアァァァァァァ...."


「(あれから、八年か-------)」


同僚達が、何か酒を飲んだりして


声を上げているが鮎人はその事務所の


同僚達から目を背けると、再び手すりの側に立ち


そこから見える夕暮れの


景色に目を向ける-------....


「(死出島--------...)」


"ザアアアアアアアアアァァァァァ---------


鮎人達を乗せた、オーシャニア・クルーズの


スクリューが、その船の後影に


大きな澪を立てながら


夕暮れの海の上を走って行く--------


「(・・・・)」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ