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2.悲劇

次にドアを開ける音がする。そして、バンっと、ドアの閉まる音がした。運転席に座ったのだろう。ダンボールの積まれた助手席には座れないはずだ。

 そこから音が消えた。

 私はただ静かに隠れていた。身動きを取らずただ隠れていた。


 何分が経っただろう。空に花火の上がる音がした。ビニールシートから少し顔を覗かせる。

 また、2発目の花火が天に咲いた。


 綺麗だった。

 

 この瞬間まで私は幸せだった。本当に幸せだった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 探偵にも休暇は必要だ。

 まぁ、探偵で収入を得た事はないから普段から休暇のようなものか。


 僕は京都大学経済学部1年生の平田優介。そこそこ優秀だとされる、普通の学生。

 推理小説に影響された僕は夏休みで大学もバイトも休みになった今、探偵を名乗ってネットで依頼を待った。

 しかしそんな学生に依頼する人はおらず、暇を持て余した僕は近所の花火大会に来たと言うわけだ。


 僕は屋台で買ったフランクフルトを手にし、人混みを出た。人混みから出ると静かだった。

 僕の近くには近所に住んでいるのであろう老夫婦がいるだけだ。

 ん?

 人混みとは逆の方に1台のトラックを見つけた。暗くてよく見えないが運転席に人が乗っているようだ。

 ヒューーー、バン!

 トラックに気を取られていると1発目の花火があがった。

 続いて2発目があがる。

 綺麗だ。


 ふと、トラックの方をみた。

 ん?

 荷台に誰か乗っている? ビニール袋に覆われた荷台に人がいるように見えた。


 次の瞬間だった。


 トラックが急発進した。それも花火に夢中になっている人混みの方に。トラックは僕の目の前を通り、猛スピードで進んでいく。

 

 え? 荷台に誰かが立っているのが見えた。


 ……テロ、か

 探偵としてもっと早く気づくべきだったのかもしれない。

 しかし車は思わぬ動きを始めた。遅くなったり速くなったりを繰り返している。そして突如、急停車した。


 人混みまで30メートルほどの距離だ。

 僕は車の方へ走って行った。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

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