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もしも牛丼屋の紅生姜に毒が盛られていたら。

2月3日水曜日 12時15分


ここは渋谷から急行電車に乗って約1時間、

駅を降りて徒歩15分程度の位置にある汚い一軒家の1部屋だ。


小学校の理科の実験室に置いてあるような

ビーカーやシャーレが目の前にある。


僕の目の前のシャーレの上には、

紅生姜が盛られている。


ただし、これを口にする事はできない。

これはトクベツな紅生姜だからだ。


目の前のトクベツな紅生姜を眺めながら、

駅前でテイクアウトした牛丼を頬張る。

でも、決して目の前の紅生姜には手をつけない。


それは商品だからではなく、

食べてはイケナイものだからだ。


この紅生姜には即効性はないが、

確実に死に貶める毒物が混入されている。


ここはもちろん紅生姜工場ではなく、

同じ目的を持ったものが同居するトクベツな家。

僕と同居人は、この家の事をポイズファクトリーと呼ぶ。

有名なバンドが所属する事務所の名前をもじってつけた。


僕と同居人達は週に1度、共有リビングで集まり酒盛をする。

半額シールの貼られた惣菜と、発泡酒や缶チューハイを

駅直結のスーパーで買って

その有名なバンドの最近の曲についてよく批判をしている。


今朝、実行犯として、僕、桜井リョウはこのトクベツな紅生姜を忍ばせ、

駅前の牛丼屋に立ち寄ってきた所だった。


2月3日水曜日 10時

僕が今朝、牛丼屋で何をしたのか。


このトクベツな紅生姜を

トクベツでない紅生姜が詰まった瓶の中に混入させたのだ。


紅生姜を混入させ、牛丼並を食べ終え僕が席を立った後、

同居人のよしひこが入店し、

その席以外の空いている席に座る。


よしひこは、僕と幼馴染で、ポイズファクトリーに住む同居人の1人だ。


僕が数十分前に座っていた席に

客が座って「牛丼並」を注文する。


かなめなんちゃらという名前の俳優に似た

30代後半のサラリーマン。

背は170cm後半、すらっとした体型。

左手の薬指には婚約指輪。


彼は紅生姜が入った瓶から、

頼んだ大盛り牛丼の上にどっさり乗せた。


よしひこの鼓動は早くなる。

よしひこは僕宛のLineにメッセージを送った。

「リーマンDがいつもの席で、赤く染まった」


赤く染まった


これは、トクベツな紅生姜を食べたという意味だ。


リーマンDの住所は特定済み。


これから、リーマンDの観察が始まる。

後には引き返せない。

もうトクベツな紅生姜は彼の胃の中。


最低な無差別テロが始まった。


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