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十九
重いくらいの暑さが私を押しつぶそうとしているみたいです。
そして、蝉の大合唱が頭の中を埋め尽くします。
空だけが爽やかな青に真っ白な入道雲をたたえて夏はいいものだと主張しているようです。
夏休み、私は2時間の補習授業の為に汗だくで学校へ向かっています。
校舎に入ると少しひんやりとしていて私は長いため息をつきました。
「おはようございます」
源城先生が事務室から出てきたところでした。
私を見つけて嬉しそう、と言うより面白そうにめずらしく口角を上げています。
「……おはようございます」
私は軽く会釈をして下駄箱から上履きを取り出しました。
「暑いですが、頑張りましょう」
「……はい」
私は自分の足元から目線を外さないまま返事をしました。
一瞬の沈黙の後、源城先生は行ってしまいました。




