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白きドレスに淡き永遠の孤独  作者: うみゆき
淡い花火は儚く散って。
1/12

プロローグ

第一作目更新しました。

皆さんが楽しんで読んで頂けますよう頑張りたいと思います。

ねえ、目を開いてよ。


そして笑ってよ。


僕の夢が叶ったんだよ。


だからさ、約束を守ってよ。


僕の店で。


僕の紅茶を愛してよ。


そして、僕を。


白いドレスは孤独の印。

だから、彼女は白いドレスに着替えさせられた。

僕の服は、彼女とは反対で真っ黒だ。

そして、彼女の側には僕しかいなかった。

彼女は僕の孤独を埋めてくれた。

僕の孤独を僕と嘆いてくれた。

僕の孤独の半分を、昇華してくれた。

それなのに本当に孤独だったのは彼女だったなんて。

僕は知らなかった。

ただ、彼女は誰かといたかったのだろうか。

だから、僕の最期と決められた部屋に来たのだろうか。

そして彼女は名乗ったのだろうか。

白きドレスに包まれた、孤独に埋まった少女であるサンドラを。

僕はそんな事も知らずに呑気に僕は笑っていたのだ。

彼女が今存在するという断片的な幸せに満足して。

僕はいざ知るときはもう遅かった。

サンドラちゃんは孤独に埋まってしまっていたのだ。

手を伸ばしても地に現れないほど。

僕の手など届くはずも無い、固いアスファルトの下に。

彼女はカブトムシの幼虫のように生き埋めにされてしまったのだろうか。

彼女は最期にまだ過ごしたいと思ってくれたのだろうか。

最期に僕を想ってくれたのだろうか。

もしも彼女に会えるなら、それが一番聞きたかった。

でももう彼女は僕に会いに来ないだろう。

定められた輪廻の中で本人の意志は関せずに。

だから、彼女に会うには僕から行く必要があった。


「じゃあお休み、サンドラちゃん。僕は君の元に行くまで、少し眠らしてもらうよ」


遠くで少年が泣いていた。

それは誰だろうか。


僕だろうか。


いつまでも孤独に嫌悪していた、昔の僕だろうか。

僕は泣いていた。

僕は。

僕は。


あの時、確か独りで…。




白いドレスを着たお伽話の少女は自分の元に来てほしいと懇願した。

そして、孤独を埋めた。

それと同じく、サンドラちゃんも孤独を恐れていた。

だから、彼女は僕で孤独を埋めようとした。

それは僕も同じで、僕らは孤独を集めて孤独を消した。

孤独が二つ集まっても二つの孤独にしかならないということを意図的に忘れて、孤独を消せると信じきった。

だけど、僕らは孤独であることに代わりはなかった。

だけど。だけど。


僕は彼女を知らなかった。


嘘に染まっていた彼女を。


これは、繊細で脆いお伽話。

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