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039:エピローグ-前編- 刻と天空の支配者


 サイネリアーチでの戦いを終えたユノとユズリハがお互いを支えながら歩く。行き先は当然、リリサレナ広場だ。


 二人の横を歩くカーネイリの手は、気を失っているらしい団長の首根っこを掴んでた。


 広場に到着し、


「やっぱ、起動してないわね」


 多乱風花の(プールス・フロース・)大時計(オロロージョ)を見て、ユノが小さく呟いた。


 文字盤の|不枯の精花《アルテルールは花開き輝いている。

 それは夜に輝くものとは違う輝き方をしているのだが――


「ユノちゃん、ユズちゃん」


 その場に居たカルーアに呼ばれて顔を上げる。


「二人ともボロボロね」


 我がことのように顔を(しか)めるカルーアに、ユノとユズリハは笑みを返す。


 それでも、二人の無事に安堵したのだろう。彼女は小さく息を吐いてから、手に持っていたものをユノへと手渡す。


「用意しておいたわよ。これ、必要でしょ?」

「あたしの工具箱」


 茶目っ気たっぷりに手渡してくるカルーアから、それを受け取り、ユズリハから離れる。

 そうして、ふらりふらりと歩きながら、ユノは大花時計と向かい合った。


 しばらく真っ直ぐに大花時計を見据えていたユノだったが、やがて何かを決意したかのようにうなずくと、声高々と宣言する。


「さて、刻と天空を支配する機能とやらの修理を始めるとしましょうかッ!」


 満面の笑みを浮かべ、ユノは時計の背面へと行くと、いつものように作業窓を開け、工具箱から道具を取り出す。


 そうして、騒動の後始末で騒がしくなってきた街の中心で、フルール・ユニック工房の二代目店主による、歴史に残るだろう先史花導器(アルテ・フィオリオ)の修理が始まった。


 もはや戦いの疲労や、霊力過剰膨張(マナ・バーン)による肉体の一時氷結など忘れたかのように、ユノは大花時計の背から内部へと半身を突っ込んでいる。


「うわぁッ! 流れ込むマナのおかげで見たコトのない花術紋(フルーレム)がいっぱい見えて……ッ! うわー! うわー!」


 時折、そういう興奮した声が聞こえてきて、様子を見守っている人たちは苦笑する。


 ややして――もぞもぞとそこから這い出してくると、周囲へと訊ねた。


「誰か、闇の精霊の好む霊花(エテルネルール)を持ってない?」


 周囲で彼女の様子を眺めていた野次馬や、近くで作業をしている者達は、みな一様に首を横に振る。


「むぅ……流石に霊花(エテルネルール)を求めるのは厳しいかしら……」

「そんなコトないさね」


 小さく呻いた時、そんな声が聞こえてそちらへと視線を向ける。


「マギー婆さん」

「ほれ。このバスケットの中にある花、好きに使っていいよ」

「ほんとッ!?」


 目を輝かせてランチバスケットを受け取り、蓋を開ける。


「闇特化はなさそうだけど……」


 いくつかの霊花(エテルネルール)を組み合わせれば代用出来そうだ。


「何とかなるかもッ! ありがとうマギー婆さんッ!」


 一方的にそう告げて、ユノは霊花をいくつか掴んで、再び時計の中へと半身を突っ込む。

 それを見ながら、ユズリハとカルーアが驚いてた。


「珍しい。ユノが素直にお礼を言うなんて」

「でもあれ――ユノちゃん、自分がお礼を口にした自覚ないわよね」


 顔を見合わせて、二人は笑い合う。

 それから、あまり時間をおかず、時計の中から声が聞こえる。


「微妙に闇属性のマナが足りないッ!」


 もぞもぞとユノは這い出してきて、みんなにもう一度訊ねる。


霊花(エテルネルール)じゃなくてもいいッ、誰か闇の精霊が好みそうな花持ってないッ!?」


 その場にいる皆が顔を見合わせ、そして肩を竦める。


 あと一歩届かない。ユノがそのコトに頭を抱えていると、カルーアが手に持っていたミニブーケを見せてくる。


「これじゃ、ダメかしら?」


 差し出されたブーケを見て、ユノは目を見開いた。


「それよッ!」


 まるで、カイム・アウルーラからの手助けであるかのように、カルーアが手に持っていたもの。


 街の名物――ショコラコスモスのミニブーケ


「……イケるわッ! ナイスよカルーア!」


 それを受け取って、ユノは再び中に潜っていく。


「出来たーッ!!」


 ややして、大花時計の内部から嬉しそうなユノの声が聞こえてきた。

 直後に、ゴンっという鈍い音と――


「いたい……」


 ユノの涙声が続く。


 どうやらテンションがあがりすぎて、大花時計の中で立ち上がろうとしたらしい。

 しばらく動きを止めていたユノが、立ち直ったのか、もぞもぞと大花時計の中から這いだしてくる。


 背面の戸を閉め、鍵を掛けた。


 沸き上がる気持ちを堪えるように、ユノはゆっくりと多乱風花の(プールス・フロース・)大時計(オロロージョ)の前へと回ると、その中心――二針の付け根へと手を当てる。


 すると、そこに歯車のような花術紋(フルーレム)が小さく発生した。


「さぁ、みんな……ッ!

 これが、この子の持つもう一つの姿――刻と天空の支配者よッ!!」


 ユノは沸き上がる衝動のままにそう叫んで、その起動装置にマナを巡らせた。


 そして、それが見せた新しい姿に、カイム・アウルーラの住民達は大きく沸き上がるのだった。






     ♪





 騒動から数日後の午後。

 フルール・ユニック工房前。


「二代目、そいつはなかなか難しい注文だな」

「不格好でもいいわよ」


 松葉杖を付きながら、ユノは工房の看板を見上げて投げやりに告げる。

 看板の上からユノに声を掛けているのは、この街のとある大工ギルドの棟梁(とうりょう)だ。


「そうかい? それなら出来なくもねぇが」

「じゃあお願い」

「あいよ」


 アクエ・ファニーネ召喚後、瞳の色が元の赤に戻らずアイスブルーのままになってしまった左目を細めながら、棟梁と言葉を交わす。


「それじゃあ、ちゃちゃっとやるぜ」


 そう言うと、本当に棟梁はちゃちゃっとやってのけてくれた。

 それを見ながら、ユノが訊ねる。


「本当にタダでいいの?」

「もちろん。街を救っただけでなく、街のシンボルを増やしてくれたんだからよ」

「増えたっていうかあれ、元々の機能なんだけどね」


 そう言ってユノは肩を竦めながら、棟梁と共に空を見上げた。



     ♪



「刻と天空の支配者、か」


 カーネイリが仕事部屋の窓から空を見上げて、笑う。


「なってみたいとは思うがな」


 あの共修騎士団長の気持ちは分からなくもない。

 だが、結局のところ実力も器も伴っていなかったということなのだろう。


 あるいは、あの団長は――そこまで考えて、胸中でかぶりを振る。あんな男をいちいち気にかけていても意味がないだろう。少なくとも、あのままであり続けるのであれば、小物以上の価値はない。


 思案をしていると、横で控えていた部下が声をかけてくる。


「ボスなら出来るのでは?」


 部下――トミィの言葉に、カーネイリは首を横に振った。


「何を持って支配とするのか。何をどう支配するのか。それらを支配した上で何をするのか――生憎とそういうビジョンが浮かばなくてな。

 それが無ければ、手にしたところで破滅するだけだ。そのような力など」


 そう答えてから、だが――とカーネイリが告げる。


「そのビジョンを見つけたら付き合ってくれるか? トミィ」


 その問いに、気を悪くしたら申し訳ないがと前置いてからトミィは答える。


「そのビジョン次第ですね。

 今はこの剣を捧げるに値するボスだと思っています。ですが――」

「値しなくなれば斬る、か?」

「はい。ボスはそのつもりで、俺を雇ったのでしょう?」

「違いない。ならば斬られぬように、今日も真面目に悪事を働くとしようか」


 トミィの言動に、カーネイリは気を悪くするどころか、むしろ気を良くしてうなずく。そうして、カーネイリは大笑いしながら立ち上がる。


「では、お付き合いします」


 そんな彼に、トミィは笑い返すのだった。



     ♪



「マムは、支配者の力というのは欲しいものですか?」


 窓から見える、それの姿を見ながらサイーニャがマリーに訊ねる。


「そうさな」


 それに、マリーは少し目を伏せて思案した。

 その答えを待つ間に、サイーニャはお茶を淹れ、ティーカップをマリーの前へと差し出した。


「欲しいと言えば欲しいが、不要と言えば不要だな」


 ややして、マリーはそう答えて、湯気を立てる花茶を口に含む。


「ほう――美味いな。綿毛人協会(フラウマーズギルド)の事務員というのは、お茶を淹れる技能が必要なのか?」

「いえ。ユズ姉様の淹れるお茶が美味しいものですから、自分でも淹れられるようになりたいな――と。独学ではありますが研究しているのですよ」


 お口に合って良かったと笑うサイーニャを見て、マリーはもう一口含むと、改めて美味いと口にした。


「全てを支配してしまいたいという欲はあるが、全てを支配してしまったらきっとつまらないだろう」

「つまらない――ですか?」

「ああ、そうだ。

 私がお前の身も心も完全に支配していたら、きっとこの美味い茶を味わえない。そういうコトだ」

「支配した私に、美味しいお茶を淹れろと命じればよろしいのでは?」

「そうして出てくるだろう美味い茶というのは、私の既知であり私好みの茶でしかないだろう?

 私の知らない味……サイーニャだからこそ淹れられる茶というのは、何者にも支配されていないからこそ、サイーニャが淹れられるものさね」


 そう告げて、マリーはお茶を飲み干し、おかわりを要求する。

 それに、サイーニャは笑顔で応じた。


「真の支配者なんても者がこの世界にいるとしたらな、サイーニャ。

 それは、自分自身に他ならないのだろうさ」

「自分ですか?」


 注いだおかわりをマリーに手渡しながら、サイーニャは首を傾げる。


「ああ、そうだ。自分を支配できるのは自分だけだ。

 だが、人というのは自分を簡単に支配するコトはできない。自己を支配する為には、それを行うだけの余裕が必要だからな。

 だから私は、行き場のない孤児たちに、自己支配を行えるだけの余裕が生まれるように、育ててやるのさ」


 上機嫌にそう(うた)うマリーに、サイーニャは嬉しそうに目を細める。


「そうして育てられ、巣立ち、表街(リリティア)で生きていけるようになった身としては、マムに対して感謝しかありません」

「どういたしまして。だがねサイーニャ。お前は表街(リリティア)で生きているのだから、わざわざ帰ってくる必要はないんだよ?」

「酷いですね、母さん(マム)。娘に里帰りをするな、なんて」

「おっと、そんなつもりは無かった。謝ろう」

「冗談です。私が裏街(サレナ)に顔を出すのは、自己支配の結果だというコトで」

「悪くない返答だ。孝行娘を持って幸せだと、喜んでおこう」

「ええ。是非」


 冗談めかしてうなずくサイーニャに、マリーは言葉通り嬉しそうな顔で、お茶を飲む。


 窓から見える支配者の姿を見ながら、そう言えば――と苦笑した。


「この騒動の中心人物たちは、自己支配の甘い面々ばっかりだったな」


 ユノもユズリハも、そしてあの団長とやらも。

 自己の支配が甘いから、他者を支配することや他者からの支配を望んでしまう。あるいは、他者のみならず自己の支配すらも拒絶してしまう――と言うべきか。


 どの支配も、娯楽や精神安定の一環として、一時的に余所へ委ねるのであれば問題はないが、それを依存し求め続けるようになれば、人間として破綻する。それは表の人間も裏の人間も変わらない。


「サイーニャ。自己支配に必要な余裕を作るのに一番重要なものというのは、何か分かるか?」

「……いいえ。教えていただいても?」

「『居場所』さね。物理的なものはもちろん、精神的な『居場所』もね」


 気づくか、築くか――そのどちらかが必ず必要になる。


 どれだけマリーが孤児に手を差し伸べても、そこへ至れるかどうかというのは、孤児次第なのだ。

 気づくにしろ、築くにしろ、居場所を得るには自分でどうにかするしかない。


「世話になってる身としては、今回の件がキッカケにでもなれば良いと思うが、さて……」


 独りごちて、カップに口を付けると空になっているのに気づいた。

 マリーがカップをテーブルに置いて顔をあげると、すでに準備していたサイーニャがすかさずおかわりを注いだ。



     ♪



「シャンテリーゼさんは、まだ帰国されないんですか」


 リリサレナ広場のベンチに腰を掛け、ショコラコスモスを口にしながら、カルーアが訊ねる。

 それに、同じくショコラコスモスのミニブーケを口にしているシャンテリーゼがうなずいた。


「団長ならびにその協力者たちの護送と報告は副隊長らに任せてあるからな。私は、カイム・アウルーラ行政局への騒動報告の為に残っている」


 後日、外交官がやってくるので、その人物と共に正式な謝罪と報告をする予定である。

 とはいえ、外交官が来るまで何もしないわけにもいかないので、シャンテリーゼ他一部の騎士達は街へ残り、可能な範囲で後始末をしていた。


「そうですか」


 カルーアはうなずきながら、空を見上げる。


「何度見てもすごいな、あれは」

「はい。ユノちゃんや、他の詳しい人達も原理までは分からないみたいですね」

「学術騎士達たち口を揃えてそう言っていたな。先史技術――改めて、恐ろしい」

「でも、こういう無害なのでしたら、見る分には楽しいと思いますけど」

「それには同意する」


 笑うカルーアに、シャンテリーゼも笑い返す。


「さて――休憩もそろそろ終わりか」


 食べ終えたショコラコスモスのブーケを丸めながら、シャンテリーゼは立ち上がる。


「お仕事、がんばってくださいね」

「ああ。今日は夜に時間がありそうだから、アレンでも誘って飲みに行かせてもらうよ。マスターにもよろしく言っておいて欲しい」

「はい。ご来店お待ちしています」


 笑顔のカルーアに見送られながらシャンテリーゼは広場をあとにする。


 次の仕事の現場へと向かう途中で、ふとシャンテリーゼは足を止めて空を見上げた。


「支配者か……あの姿を見る限りは支配者というよりも、街を見守る守護者のようにも見えるが……」


 街の人たちの思いに応える守護者――ただ空にいるだけなのに、へたな騎士よりも騎士らしい存在に見えるから不思議である。


「ふむ。負けられない――と、がんばるべきか?」


 そう(うそぶ)いて、シャンテリーゼは軽く身体を伸ばすのだった。



     ♪



 グラジ皇国。牢獄塔。


「やっぱりあれが、刻と天空の支配者だと。どうだ? あんな物の為に暴れ回った気分は?

 なぁ――『狂才(ナイト・オブ・)の騎士(クレイジーニアス)』さんよ?」


 窓から見えるそれを指しながら嫌みったらしく言ってくる看守の胸ぐらを、ダンダルシアは格子の間から手を伸ばして掴んだ。


「ぐぉッ!?」


 直後、思い切り引き寄せる。

 格子に勢いよくぶつかって、看守が苦痛に顔を歪ませるがそんなものは一切気にせず、その耳元で静かに告げる。


「その名で俺を呼んで良いのは『赤い愚者(フールージュ)』だけだ。

 軽々しく呼ぶな。貴様を殺すコトなど、ここからでも容易なんだぞ?」

「ぐ……あ……」


 痛みに歪んだ顔のまま看守は数度うなずく。


 それを見て、ダンダルシアは手のチカラを緩めた。

 看守が安堵し、格子から身体を離そうとする。だがまだ彼は看守の胸ぐらを掴んだままだった。


「え?」


 上手く身体を離すことが出来ず、呆けた声を出した看守を、ダンダルシアは思いきり自分の方へと引き寄せる。


 再び格子へと激しくぶつかり、苦悶を浮かべる看守。


 そこへすかさず、彼は拳を振るう。

 それは綺麗に格子の隙間を縫い、看守の頬を捉えると、通路を挟んで反対側の牢の格子へと激突させた。


「看守の仕事は、牢囚にイヤミを言うコトではないはずだがな」


 鼻を鳴らしながら、彼は牢屋の窓から空を見上げる。

 よろよろと自分の牢屋から離れていく看守の気配を感じながら、肩を竦める。


「刻と天空の支配者、か……」


 空にあるそれを見ながら、彼は誰ともなしに呟いた。


「こんな状態だというのに、不思議と悪くない気分だ」


 狂才(ナイト・オブ・)の騎士(クレイジーニアス)――まったくもって最悪の称号だと思う。だが、どうにも悪くないと思っている自分がいる。


 ダンダルシアが意識を取り戻した時には、すでに母国へと送り返されていた。

 本来であれば皇族用の隔離塔へと幽閉されるとこであったのだが、自分から申し出て、敢えてこちらの犯罪者用の独房塔にしてもらったのだ。


 自分でもどうしてここを選んだのかは分からない。

 だが、目が覚めてからこっち、自分の中にあった渇望にも似た何かが、どういうワケかとても落ち着いているのだ。

 凪いだ気分が、思考にも影響を与えているのだろう。こちらの方が自分に相応しいような気がしたのだ。

 

 その理由を、ダンダルシアはすっと考えていた。


 窓から見える刻と天空の支配者の姿――あれを求めていたのかと言われれば否だ。

 あれが、自分の望むような存在であったとしても、望んでいたのは支配者になることではなかったような気がする。


 では、自分は何を欲していたのか。

 刻と天空の支配者だけではない。何を渇望し、何のために、支配者になりうるチカラを欲していたのか……。

 落ち着いて考えてみると、まったく思い出せなくなっている。いや、そもそもそんなものは無かったのか……。


 答えがでないまま、ずっとずっと悩んで考えて――


「まったく……しばらくは答えが出なさそうだ。

 だが、時間つぶしの思考としては悪くはない」


 そう結論づけたダンダルシアは、薄汚れたベッドの上に横になる。


 今まで、酒を美味いと思ったことはなかったが、今ならどんな酒を口にしても美味いと思えるのではないだろうか。


「む……だとしたら、こちらに来るのは失敗だったか?」


 思わずそう嘯いて、小さな笑みを浮かべる。

 

「ユノ・ルージュ……。

 敵対者ではなく、研究者として、一度言葉を交わしてみたいものだがな」


 今の自分に許されることかどうかは分からないが――いつかそれをする為に……。


 それは、全てを失ったに等しい自分が、幻蘭の園に旅立たない理由にはできそうだった。






 エピローグが想定より長くなってしまったので、やや中途半端ですが、ここで切らせていただきます。

 勿体を付けた刻と天空の支配者の正体も次回に持ち越しです。


 次回は騒動編最終話『エピローグ-後編-かけがえのない花たち』の予定です。


 一応――今回の騒動は完結しますが、ユノの物語はもうちょっとだけ続くんじゃよ。

 

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