養い子3
「・・・・・って・・・・どうして付いてくるの?アルト王子?」
シルホード大公ルナーレの部屋の前のドアの前で、
プレーチェを抱っこしたままのコルテは、振り向いた。
「ん?・・・・・だって、お前らがまだ俺の事
好きじゃないとしても、俺がお前らの事気に入ったから、
『遊ぼうぜ!』って思ったから・・・・
それで、俺の事、好きになってもらおうと思ってさ~
・・・・・嫌だったか?」
広い空の太陽のようなアルト王子の
捨てられた子犬のような瞳に「いいえ・・・」
としかコルテは、言えなかった。
「それに、俺も叔父上に会いたいと思っていたしな。」
アルトの言葉を聞きながら、
コルテは、シルホード大公に取り次いでもらうように
シルホード大公の侍女に言った。
「アルト王子、コルテ公子、お入り下さい。
・・・・・・プレーチェ様は、部屋にお戻りになるようにと・・・」
侍女の言葉に、アルトと、プレーチェは、
ほぼ同時に息を飲み、
コルテは、ピクリと眉根を寄せてため息を吐き、
「それでは・・・」
とその後に言葉を繋げる。
「それでは、僕もプレーチェと帰るとするよ。
プレーチェを伯父上に会わせてやりたいと
思って来たのだし・・。」
「お大事にと伝えて」そう言って、
瞳を瞬かせるプレーチェを連れてコルテは、行こうとする。
が、
ガシッとコルテの肩をつかみ、アルトは、無言で
シルホード大公ルナーレの部屋に押し入る。
「叔父上!どうして、自分の子が見舞いに来たのに、
追い返そうとするんだ!
家族なんだろ!俺より大事な物のはずじゃないのか!?」
アルト王子を見て、シルホード大公は、
厳しい顔を少し緩めて微笑みを浮かべたが、
すぐに、コルテの腕の中のプレーチェを
見て、冷たく言い放った。
「お前には、部屋に戻れと言ったはず、
入室の許可は与えてはおらぬぞ!・・・・
大人しく部屋に戻れ、愚図が。」
コルテの腕の中で、
無表情ながらプレーチェは、ジッと聞いて見ていた。
自分は、部屋に入ったら駄目なのに、
それ以外には許可が下りたこと、
自分には笑ってくれたことが無いのに、
シルホード大公・・・・ルナーレとうたまが、
アルトには、微笑んでいたこと、
その後、自分には冷たい目になって、
再び拒否されたことを・・・。
プルプル震えだしたプレーチェに慌てたように
コルテが、話しかける。
「・・・ぷ・・・プレーチェ・・?」
「・・ふ・・・う・・・ぅぅ‥‥」
プレーチェの大きな瞳から大粒の涙が零れ落ちた。
ぼくは、とうたまが好きなのに・・・・大好きなのに・・
やっぱりぼくは要らない・・・・とうたまは、
ぼくが、嫌い・・・・・。
プレーチェの気持ちが零れ落ちた。




