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月夜の願い、闇夜の祈り  作者: のえる
41/59

三玉2

「アル!・・・・・アルト、待って下さい!」




茶褐色の髪と、赤茶の瞳の少年、




アルト<大いなるもの>王子のしばらく後に、




黒い髪の少女・・・・・いや、




黒い髪に深い緑の瞳の少年、




アルト<大いなるもの>王子の幼馴染で




従兄弟にであるデーモネ大公家の




シーン<異国の言葉で『月』>大公子と、




シーンにエスコートされる形で、




金茶の髪と明るい緑の瞳の少女、




シーン大公子と同じく、アルト<大いなるもの>王子の




幼馴染にして、従姉妹でもあるエリスがやって来た。




同じ年頃のこの仲良し幼馴染三人組のことを、




王宮はおろか国の民は、『王家の三玉』と呼んでいた。










「アル、君は、すぐに飛び出してゆくのだから・・・・。」




黒い髪の少年、シーン<異国の言葉で『月』>大公子は、




ため息をついて、すぐにプレーチェへと瞳を向けた。












「ねえ、シンちゃん、この子どうしたの?




大丈夫なの?こんなに小さい子なのに・・・?」




エリスは、仲の良いチェーロを見て




一瞬嬉しそうに微笑んだけれど、




すぐに、モヤモヤしたものにまとわりつかれている




プレーチェを見て、心配そうにそう言った。














「・・・チェーロ王女殿下、お久しぶりでございます。




再びまみえましたこと、真に光栄でございます。




きちんとしたご挨拶が出来ません事を




ご容赦下さいませ・・・」




丁重な態度でシーンは、チェーロにそう言うと、




エリスの方に振り返り、にっこり笑って、




安心させるようにこう言った。








「大丈夫ですよ、エリス、幸いここには、




兄上が、居て下さったようです。




それに、王宮内と言うこともあり、悪いものは集まって




来てはいない様ですよ。




・・・・ノッテ兄上、お久しぶりです。




お会いできることを楽しみにしておりました・・・・・・・




後で、ゆっくりお話しましょう。




・・・今は、これが、どういう状態なのか、




どうしてこんな状態になったのか、




僕達に出来ることはありますかどうか、




教えて頂けますか?」








ノッテは、黙って、




『王家の三玉』を見つめた。








行動的で、皆に愛される天性を持つアルト。




沈着冷静で、人を魅せる才能を持つシーン。




温かく周りを包む雰囲気と天使の容貌を持つエリス。








ノッテの身内達、




さて、どう手伝ってもらおうか・・・・・ノッテは、




そう、考えていた。

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