力3
「お祖父様、お祖母様」
チェーロは、あまり親しくない自分の父方の祖父母に
特攻に来た。
「あら、可愛い孫娘のチェーロ、
よくいらっしゃいましたね。」
にっこり笑って歓迎してくれる祖父母に、
チェーロは、複雑な気持ちを感じる。
双王の片割れ、天真爛漫で、
皆に愛された王子<王>だった可愛い息子の娘であり、
もう一人の双王である母の旧デーモネ王家の
黒の色彩を持たずに生まれた為の歓迎だと
チェーロには分かっていたからだった。
「チェーロ、あの話は、考えてくれましたか?」
いそいそと王妃である祖母が
チェーロをソファに座らせる。
国王である祖父もニコニコと人好きのする笑顔で
正面に座る。
チェーロは、幼い日のノッテとの約束のまま、
誰にも大切な人達を引き離されず
守りたい人を誰にも脅かされない最高の地位である
王位を求めていて、
中継ぎとして王位に就いている祖父母も
双王の後継として、本来の王位継承の正統である
第一子チェーロか、第二子アルトが王位を継いで欲しいと
言っていた。
だが・・・・・・
「アルトも随分大きく、凛々しくなりましたよ?
貴方にとっても誰よりも大事な肉親、可愛い弟のはず。
血統的にも、生まれてくる子どもが受け継ぐ力の高さも
もっとも良い組み合わせだと思うのですが?
・・・・・・貴方達二人なら、どちらが王や巫子王になっても、
王配や、王妃になっても血統も力の量も十分でしょう。」
王位には就きたいし、
弟は、可愛く、家族の時間を取り戻したいとは、考えている
けれど・・・
チェーロは、確かに外育ちの意識のままで、
王女として、早く王家の意識になりなさいと言われて
少しは慣れなければな・・とも、思わなくない
けれど・・・
異性の双子の姉弟だった初代女王と巫子王から続く
旧シルホード王家の慣習でなのだと言われても、
どう引っくり返しても、弟とは、結婚したくなかった。
王位継承の条件と言われたとしても・・・・・。。




