謁見2
「国王陛下、王后陛下、この子が、シルホード大公
ルナーレ・テッラ・フィエル=シルホード伯父上の子
プレーチェ・アルベロ=シルホードです。」
不意に、スクラメンテ公子
コルテ・ルージュ=スクラメンテの声がした。
その腕の中には、国王と王妃に声をかけられることの
無かったシルホード大公ルナーレの養い子
プレーチェが無表情で抱きしめられていた。
チェーロ自身もプレーチェを全く無視している
国王達にムカムカしていたので、国王達が
どんな言葉をかけるのかと、王座を見上げた。
国王と王妃は、とても冷たい目で、
「それは、どんな血を引いているか分からない子
ルナーレがただ育ててやっているだけの存在に
どうして王や王妃が声をかける?」
王がそう言う。
「王家とスクラメンテ公家の血を引くお前とは
違うのですよコルテ、それに髪も目も
まるで魔の者の闇のような黒ではないの
とても不気味で怖いわ。」
王妃がそう言う。
「そんな事おかしいよぅ!・・・・・
そんな事言う国王陛下も、王妃様も
凄く凄く大馬鹿だよ!!」
チェーロは、国王達の言葉に
胸が締め付けられるように悲しくなり叫んだ。
跪いていた体勢からその場に立ち上がり
肩を震わせていた。
チェーロの瞳からは後から後から涙が零れおちた。
「行こう!」プレーチェを抱きしめているコルテごと
チェーロは、謁見の間から出て行った。
「あんなもうろくジジと、くそババなんか気にしなくて
いいからね!ポイだよポイ!」
プンプンと怒るチェーロを見上げる
プレーチェの瞳が
とても驚いて瞬いているように見えた。




