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月夜の願い、闇夜の祈り  作者: のえる
27/59

王宮へ4

「・・・・・よく・・・・・参ったな・・・・・・。」




力なく、しかし瞳の光だけは失われずに




ベッドの上の宰相閣下が、




シルホード大公ルナーレ・テッラ・フィエル=シルホードが、




見舞いに駆けつけたノッテ<夜>達に




そう声を掛けた。




いつもの笑顔も消えてガタガタと震えそうになる体を




なんとか押さえ込んで立つチェーロ<空>の顔色が




すっかり青ざめてしまっているのをそっと確かめた




ノッテ<夜>は、自分の背中にさりげなく




チェーロ<空>を庇った。








「・・・・そう・・・警戒をするな・・・・私は、病床の身、




あの頃は、真実も明らかにされずに、お前達は、




我らにとって反乱の徒となっていたのだ、許せ、




私が、お前達の叔父と従兄叔父と言う事を思い出し、




水に流しては、くれぬか?」






王宮の宰相の部屋へとやって来たチェーロ<空>達は、




病床に居ながら鋭い瞳でこちらを射抜いてくる瞳に




迎えられた。












「伯父上、プレーチェと共に参りました。




お加減はいかがなのですか?」




にっこり笑って、スクラメンテ公子




コルテ・ルージュ=スクラメンテが、大事そうに




プレーチェ<祈り>を抱っこしてルナーレ<月>に




そう言った。




(誰だ・・・・・これは・・・・!!)




コルテ<宮>の生意気な所を散々に見ていたノッテは、




作った笑顔を浮かべたまま心だけでそう思った。



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