王宮へ4
「・・・・・よく・・・・・参ったな・・・・・・。」
力なく、しかし瞳の光だけは失われずに
ベッドの上の宰相閣下が、
シルホード大公ルナーレ・テッラ・フィエル=シルホードが、
見舞いに駆けつけたノッテ<夜>達に
そう声を掛けた。
いつもの笑顔も消えてガタガタと震えそうになる体を
なんとか押さえ込んで立つチェーロ<空>の顔色が
すっかり青ざめてしまっているのをそっと確かめた
ノッテ<夜>は、自分の背中にさりげなく
チェーロ<空>を庇った。
「・・・・そう・・・警戒をするな・・・・私は、病床の身、
あの頃は、真実も明らかにされずに、お前達は、
我らにとって反乱の徒となっていたのだ、許せ、
私が、お前達の叔父と従兄叔父と言う事を思い出し、
水に流しては、くれぬか?」
王宮の宰相の部屋へとやって来たチェーロ<空>達は、
病床に居ながら鋭い瞳でこちらを射抜いてくる瞳に
迎えられた。
「伯父上、プレーチェと共に参りました。
お加減はいかがなのですか?」
にっこり笑って、スクラメンテ公子
コルテ・ルージュ=スクラメンテが、大事そうに
プレーチェ<祈り>を抱っこしてルナーレ<月>に
そう言った。
(誰だ・・・・・これは・・・・!!)
コルテ<宮>の生意気な所を散々に見ていたノッテは、
作った笑顔を浮かべたまま心だけでそう思った。




