トレーニングを終え、談話室には主に三人の疲れが蔓延する
「おい、お前ら。あんくらいのトレーニングでばててんじゃねえぞ。これから、遠征だってのによ」
――いや、死ぬって。死神の迎え来るって。
あくまで比喩だが、そのくらいのレベルで、疲れた。
俐斗たちは、一応全てのトレーニングを終え、談話室に集まり、休憩も兼ねて、魔物討伐に向けた準備をしていた。が、しかし。実際に準備をしているのはギルベルトと由良だけで、俐斗たちはへばっていた。
「ほら、アンドレアもクロウディアも早く立て」
フィニラムとリヒトは床に這いつくばって、息を整えている。結局、なんとかリタイアはこの部隊からは出なかったものの、この有様だ。
「良いんですよ、私は作戦を立てるのがメインで、戦うことは本業ではないので……」
「ぼ、僕は素早さが取り柄だから……」
二人とも息切れしながら答える。俐斗も今の気分としては、極力話すのは控えたかった。
「もう、構ってらんねえ。さっさと、遠征の準備しろよ」
「準備は大方終わってますよ。とりあえず、食堂で昼食を頂きましょう」
「何をぬかしている。一刻も早く、遠征場所に……」
ギルベルトが言いかけたとたん、誰かのおなかの音が、部屋に鳴り響いた。
「だっ、誰だよ、今の音はよ!」
顔を赤くして怒鳴るギルベルト。態度からして、バレバレだ。
「さ、早く食堂へ行きましょう。腹がすいては戦は出来ぬと言いますし」
魔法専門なため、トレーニングを免れた由良は、無邪気に言った。
リヒトは、フラフラとよろめきながら立ち上がった。
「そ、そうだな。腹が減っている誰かさんもいるようだし」
――そこで、何故か私の顔を見る、ギルベルト。言っとくが、さっきのは、俺じゃないからな。テトリー、お前だからな。
「待って、皆。僕を置いていかないで……」
まだ、立ち上がることすらできない奴がいた。その後、由良が回復魔法を使ったことは、言うまでもない。