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「でぇ? 筧吾クンに お揃いの新型 買って貰ってぇ?
使い方 分からないから夜まで教わってぇ? ちゃっかりケー番までゲットか!!」
「抜け駆けしないって言ったのにぃ!!」
「約束破りですよぉ、それは!!」
翌日の学食で、昨日の一連の出来事を説明したら、我が女子友はマジギレなさった。
今や、お菓子を食らう所の始末ではないみたいで、切歯扼腕。
でも、本当にすごい。流石、新型だけあって頭の切り替えが早い。
私の次の行動を先読みするかの様な機転の良さ。
皆がアナタに頼るの、今なら解かる気がするわ。
「皆サンが『その新型どーしたの?』と聞くから お話したのに、そんな怒られても困るわよ?」
私は筧吾クンとお揃いの新型で、スルーっとサラーっとスクロールさせながら、2人きりのグループメッセージで心を通わせている。公明正大に。
「「「信じられなーい!!」」」
我が女子友は声を揃えて、キーキーキャーキャー。
でも、こうなってしまったのは仕方が無いのよ。
筧吾クンと私を結び付けたのはガラパゴスなのだから、私はガラパゴスの最後の絆を確かなものにする義務がある。
(あ! 筧吾クンからの返信だ!)
私は腰を上げる。
「ちょっと音子ぉ、何処 行くのぉ?」
鰐口サンは怒りに任せてバリバリと煎餅を頬張りながら私を睨み上げる。
「筧吾クンがね、一緒に帰ろうって、門の前で待ってるよ~って!」
ガラパゴスの命懸けの魔法は筧吾クンと私をしっかり繋いでいる。
ガラパゴスがいなくても、私はガラパゴスを忘れない。
心の中に一生分の絆があるから。
「よし!『今から行きます!』っと! メッセージ送信完了!
さぁ、行こう、ガラパゴス2号!」
手元の新型に向かって言うと、私は軽快にスッキップ。
大好きなダーリンの元へ!
「つか……音子、新型にガラパゴスって付けた?」
「そぉみたぁい」
「ネーミングセンス悪ぅです~」
End
2014/03/20 Writing by Kimi Sakato