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第二十五章も不思議な国の街の危機

第二十五章も不思議な国の街の危機





アロが目覚めた。

しばらく意識を失っていたのだ。

アロの身体の上には巨大な岩石が自分を押し潰す様に君臨している。

岩石を持ち上げて身体の自由を確保しようと試みる。


「ぐぅ!」


途端にアロの身体に激しい激痛が走り抜ける。

自分の骨の何本かが折れている事に気が付いた。

苦痛の形相で宙を見上げる。

骸骨の鳥人達は容赦なく街に入り込んで好き放題、暴れている・・

自らが街の中心に落下した事によって舞い上がった砂埃で周囲は白色

一色の世界になっていた。


人々の悲鳴が聞こえて来る。

その声を聞いてアロはもう一度岩石を押しのけ様と試みた。


「ぐぅおぉぉぉ」


結果は同じだった。

力が入らずに激痛だけが身体一杯に走っただけであった。




僕は立ち上がった。

最初はフラフラしたけど何とか人並みに立ち上がる事が出来た。


「ヒロ君大丈夫なの・・」


ユミさんが僕を見て驚いたんだ。目がまん丸になっている。


「大丈夫ユミさん。説明している時間が無い早く行こう」


僕は力強く言った。

この言葉に説得力があったみたいだ。元気な方の鳥の顔の警備兵もミスマーブルもユミさんも僕の言葉に頷いてくれた。


「でも、一体全体何処へ行くんだい?」


ミスマーブルが僕に聞いてきた。確かに目的が分からないと皆が行動に移せない。

僕も全部が全部はっきりと説明できない。


「・・・僕が今動ける様にしてくれた人、その人を探せば・・・」


「探せば、どうなるの?」


ユミさんが僕の目を見て質問する。

今まで瞳を閉じているユミさんしか知らなかったから目でしっかりと見つめられると

僕の顔が火照ってくる。


その時ユミさんの後に骸骨の鳥人が現れた。

空から火の付いた弓矢で僕達に狙いを付けている。

ユミさんは気配を感じて素早く振り返り「光の玉」を骸骨の鳥人に向けて発射した。


光の玉は吸い込まれるように骸骨の鳥人に一直線に飛んで行き哀れな鳥人は爆発して木っ端微塵になって僕達の側にその破片を落とした。


僕はその破片の一つを拾い上げてみんなに見せた。

みんなが僕に注目する。一呼吸おいて力強く言い切った。



「こいつらに勝つ事が出来る!」



その言葉で充分だった。

みんなが「よし、やりましょう!」の顔になったからだ。


「ハヤク・・シロ・・・」


また頭の中に声が聞こえた。タイミングがいい。


「どこに居るんだ、場所を教えて」


僕は心の中で彼に向って大声で叫んだ。


「・・市場ダ・・」


「市場?」


僕は振り返って市場の方角を見てみた。さっきまで僕達がいた場所だ。

今はもうもうと煙が上がっている。その後ろには巨大な山の様な岩石が見えた。

その岩石の下にはアロが閉じ込められている。


「一番やっかいな所だよ・・」


僕はげんなりと肩を落としそうになった。

けれど僕はみんなに宣言してしまっている。


「勝つ事が出来る!」


なんて言ってしまった。・・・以上 言った言葉に責任を持たなけりゃ。

僕は自分の心を奮い立たせた。


「みんな市場だ、市場にその人はいる!」


僕は市場に向って走り出した。




串刺しになり身動きの取れない「闇の狼」の傍らに鷹の顔は立ち続けていた。

その理由はただ一つ「闇の狼」がまだ生きているからだ。

アロが岩石と供にこの街に落ちてきた時に凄まじい土埃が舞い上がった。

その為に「闇の狼」も鷹の顔も誇りまみれで全身真白な姿になっている。


「行かないのか?」


「闇の狼」は鷹の顔に向かって囁いた。

街の中では鷹の顔の部下の兵士達と骸骨の鳥人達とで激しい攻防戦を繰り広げている。


「お前が死ねば安心して動ける」


鷹の顔はわざと冷たく冷静に「闇の狼」に答えた。


「グフ、グフフフフ・・・」


「闇の狼」は挑発するように皮肉な笑い声を漏らした。

その意図が理解出来る。「時間をかせいでいるのだ」鷹の顔は「闇の狼」の意図を理解している。

鷹の顔は腰に携えた壷に目をやる。


「いっその事・・」


「闇の狼」をこの場で殺してしまえば、・・・

鷹の顔は邪な考えを抱いていた。壷の中身を使えば「闇の狼」も殺すことは簡単な事だ。ただし「闇の狼」の本当の意図を問いただすまでは出来ない。


「骸骨の鳥人」


この正体を「闇の狼」は知っているはずだ。


「歯がゆい!」


苛立ちで鷹の顔はくちばしを「ギリリ・・」と擦り付ける。

その感情を理解したように「闇の狼」が微笑む。


その時、翼の影が鷹の顔の頭上を通り抜けた。

その影を見上げて驚愕する。

それは骸骨の鳥人であっさたが甲冑の紋章は鷹の顔と同じものであったからだ。


「まさか・・・」


信じられなかったが鷹の顔と「闇の狼」を見つめる骸骨の鳥人はヒロが「親分」と呼んでいた鳥人であった。

それは鷹の顔の紛れも無い祖父の姿だった。


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