お昼休み
翌日。
少し早く目が覚めた私は昨日より大分早くに教室に着いてしまった。
今日から普通に授業が始まる。
私はなんとなく一時間目の現国の教科書をパラパラっとめくってみた。
う…なんかやっぱ中学ん時とは違うなぁ。
当たり前だけど。
早くみんな来ないかなぁ。
そんな事を思っていると教室のドアがガラッと開いた。
「おはよ。」
「よ、詠君。おはよう…ございます。」
「あはは。なんで敬語?」
詠君は笑いながら席に座った。
「早いね。」
「目が覚めちゃって…。ホントは多分もうちょっと遅いと思う。」
「そうなんだ。俺はこのくらいが普通かもしんない。」
「そうなの?じゃあ早く来れば詠君に一番に会える?」
…あれ?
もしかして私、変な事言った?
詠君の目がまん丸になったままだ。
「あ…あの…」
「じゃあ朝陽、頑張って早く来てね。」
ようやく笑ってくれた。
私は嬉しくなっちゃって、うんって答えた。
それからすぐに皆来はじめて、詠君は前を向いてまった。
私は詠君の背中を見ながら、なんだか暖かい気持ちになっていた。
と同時にドキドキする。
なんだろ、この気持ち…。
ずっと考えてたら昼休みになっていた。
なっちゃんと真緒はお弁当を持ってきてなかったから購買にパンを買いに行った。
残った私とハルはベランダに場所取りに行った。
「気持ちいいねー。なんかピクニックみたい。」
「本当だね。風も丁度いいし。」
ハルのキレイな黒髪が風になびいてキラキラしてる。
じっと見ていたらハルがこっちを見た。
「どうしたの?」
「ハル、キレイだなって思って。」
「えー!?恥ずかしいなぁ。でもありがとう。」
ハルは物腰が柔らかくて凄く安心する。
昨日出会ったばかりなのに私はハルもなっちゃんも大好きになっていた。
ハルと喋ってると真緒となっちゃんが戻ってきた。
「お待たせー。お腹空いたぁ!!」
「うわっ!!奈津子、パン5コも食べるの!?」
ハルはなっちゃんの持っていた袋の中を見て驚愕していた。
「だってぇ、今日初授業だったじゃん?なんか緊張しちゃってさぁ。昼休みになったら安心してお腹空いたんだもん。」
なっちゃんの意味不明な言い訳に3人で大笑いした。
結局なっちゃんは3コでギブアップしてたんだけど。
「あーちゃんは少食?」
オレンジジュースのパックを飲み干してなっちゃんは私に聞いてきた。
「食べる時はたくさん食べるよ。」
「そうなの?お弁当ちっちゃいからあんま食べないのかと思ったー。」
「いずれにしても奈津子よりは食べないって。」
ハルはなっちゃんにはちょっと毒舌だ。
でもそれが心地いいっていうかいいコンビなんだろうなって思う。
いつも一緒の私と真緒みたいに二人も幼なじみらしい。
私はこれからの高校生活が絶対楽しくなるっていう確信を抱いていた。