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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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33/175

異32系統 異世界車庫〜王都西門〜王城前〜王都東門

2023年7月19日にカクヨムで公開したものです。

 私、沢山さわやまはこびの今日の最初の担当は営業所発の始発便。

 制服に着替えて外に出ると、別路線の始発担当の人見ひとみこころが水素スタンドで水素の充填を行っていた。


 念のために再度伝えておくが、異世界でバスを運行させ続けられる理由。それはこの営業所のバスは全て水素エンジン車なので、太陽光発電設備と雨水から水素を作る水電解装置がある限りは半永久的に燃料を確保することが出来るから、である。


「おはよう、こころちゃん」

「おはようなのです」

「今日も朝から暑いねぇ」


 後輩のこころと他愛のない会話をしつつ、私は自分の乗るバスのタイヤ周りをチェックする。


 入社したての頃はなかなか話してくれなかったけど、最近はちょっとだけ話してくれるようになったので嬉しい。


 だけど何だか、今日はちょっとだけ様子が違うような? 元気が無い、って感じでもないし、どうしたんだろう?


「ねえこころちゃん。何か悩みでもあるの? 困ってるなら私で良ければ相談に乗るよ?」


 こころにとっての良き先輩、にはなれていないかもしれないが、せめてこれくらいは。

 しかし、こころはふるふると首を小さく横に振った。


「何でもないのです。大丈夫なのです」

「ん、そう?」


 遠慮ならしなくていいのに。

 だが、これ以上しつこくして無理に聞き出そうとするのはパワハラっぽくなってしまう気がする。

 本人も大丈夫と言っているのだから、きっと大したことではないのだろう。


「もし困ったことがあったら、いつでも話聞くからね」


 優しく微笑みかけると、こころはこくりと無言で頷いた。



 車体に異常が無いことを確認した私と、水素の充填を終えたこころは、同時にそれぞれのバスに乗り込む。


 車内を一度見回ってからエンジンをかけ、車輌や計器、機械類に異常や不具合が無いことを確かめる。冷房もガンガンに効かせて、準備はばっちり。


「じゃ、こころちゃん。今日も一日頑張ろうね!」

「はいなのです」


 朝6時。

 夏の平和な一日の始まりを告げるように、二台のバスが営業所から出庫する。


 でもその平和が酷く歪んだものであることに。大切な可愛い後輩が本当はすごく悩んでいたことに。この時の私は全く気付いていなかった。

 どうして、気付けなかったんだろう。気付いてあげられなかったんだろう。

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