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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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155/155

回送(回想) 女皇からの招待

 ヘイジオ皇国の皇都にある旅館の一室。

 完全な昼夜逆転生活を送っている無言の魔女リティーが、すっかり日も暮れた夜七時に目を覚ますと。


「おはようございます。いえ、こんばんはでしょうか? 無言の魔女殿」


 なぜか目の前に見知らぬ少女の顔があった。


「だ、だれぇ〜っ!?」


 飛び起きた勢いのまま後退り。

 壁に背中をぶつけ、「いでっ」と小さく声を漏らす。


「おや、驚かせてしまいましたか。はじめまして、ヘイジオ皇国隠密部隊のクレハと申します。いきなりで恐縮ですが、ミササギ女皇が御所にてお待ちです。お出かけの準備を」

「は、はい……?」


 何が何だか分からぬまま、とりあえず着替えだけ済ませたリティー。


「お、お待たせしました」

「では参りましょうか」


 そうして、クレハに連れて来られた先は。


「ごごごごご、御所!?」

「はい、その通りです。それに目的地は先ほど言ったではありませんか」

「あなたがさっき何言ってたかなんて覚えてないです〜!」


 ヘイジオ皇国の皇都の中心に位置する御所は、この国を治める女皇一族のお住まいである。


 当然警備は厳重で、門の前には複数の衛兵が立っている。

 そのうちの一人が、挙動不審なリティーを怪しく思ったのか眼光鋭く睨みつけてくる。


「ひぃっ!」


 リティーは怯えてクレハの後ろに隠れるも、マイペースなクレハはこちらの様子などお構いなし。


「さ、中へどうぞ」


 衛兵の横を堂々と、勝手に進んでいってしまう。

 ま、待ってよぅ〜。


「う、うあぁっ……」


 怖がりつつもどうにか御所の敷地内へと入れて、ほっと一安心。

 が、それも束の間。


「あら、思ったより早かったどすな? リティーはんは寝坊助さんやから、九時くらいまで起きへんかと思うたわ」


 立派な庭園の池の前でそう言って出迎えた人物に、リティーは瞬時に頭の中がパニックになってしまった。


 なんで女皇のミササギさんが私なんかを御所に招待したの!?

 こんな引きこもりの陰キャに、一体何の用があって?


 もしかして私、この国で何か粗相を……?

 旅館の女将さんに迷惑かけまくったのがいけなかった?

 って、そりゃあ人様に迷惑かけちゃいけないでしょ。そんなのどこの国でも当たり前。


 どうしよう、謝らなきゃ。

 でも謝ったら罪を認めたことになる?

 そしたら処刑、腹切り……!

 痛いの怖い! 苦しいの嫌い!


「あ、あばばばば……」


 ぐるぐると回る目が、ほんのり淡く光り始める。

 リティーは混乱のあまり、無意識に魔法を発動させかけていたのだ。


「おお、これが例の無詠唱妖術『黙殺』ですか」


 このままではミササギ女皇が死んでしまう危機的状況だというのに、感心したように呑気に呟くだけのクレハ。

 そして当のミササギ女皇もまた、微笑みを浮かべながら静かにリティーを見つめていた。


 いよいよ、『黙殺』が発動してしまう。


 するとその時、クレハの横から黒い影が飛び出してきた。

 ムーンサルトのリーダー、クレセントだ。


「月が隠れた時、夜の闇は全てを覆い尽くし、世界を漆黒に染める。ダークナイト!」


 クレセントの魔法によって、リティーが気を失う。

 ギリギリのタイミングでミササギ女皇の命は救われた。

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