異124系統 シャシャ山団地中央〜クァモ池大橋〜ツデュキふれあいの丘〜セクター南
『次はツキカゲモールユオーコ浜西。ツキカゲモールユオーコ浜へはこちらでお降り下さい』
次の停留所が近づいてくると、待っているお客さんの姿が見えた。
ゆっくりと減速して停車。
前扉を開けると、乗り込んできたのは髪をポニーテールに結んだ少女だ。
瞳の色からして日本人ではないと思うが、少女の髪飾りや服装からはどこか和風っぽさを感じる。
「220ゴールドでござるな。しばしお待ちを」
そして、そう言いながら少女が取り出したのは、まさかのがま口財布。
さすがに古の日本すぎる……!
「これで良いでござるか?」
「あっ、はい。大丈夫ですよ」
金貨を運賃箱の投入口に入れて支払いを終えた少女は、素早い動きで車内後方の二人掛けの座席へ。
「発車します。お掴まりください」
『次はエセエド。新ユオーコ浜、ヌアカ山方面はお乗り換えです』
その後、妙に和の雰囲気を醸し出す少女は、まるで気配を消して忍んでいるかのように終点まで静かにバスに揺られていた。
なんというか、『海外の人が考える現代の忍者』みたい子だな。




