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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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回送(回想) リティーさんの旅館ライフ

2025年10月22日にカクヨムで公開したものです。

 ヘイジオ皇国の皇都。

 メー王国のクーデター騒ぎから逃れるため、無言の魔女リティーはこの都市のある旅館に滞在していた。


「ふわぁ〜。もう夕方か……」


 千年以上の引きこもり生活ですっかり生活リズムが狂ってしまっているリティーは、明け方に寝て夕方に起きるという完全な昼夜逆転状態にも最早何も感じない。

 窓の外の夕焼け空を見上げながら、当たり前のようにそう呟く。


 布団から出た後は顔を洗って、座椅子に座るとスマホをポチポチ。

 髪はボサボサで、服も寝巻きのまま。


 どうせ部屋から出ないし。誰にも会わないし。


「なにより、人任せに出来るのが最高〜」


 自分の家とは違って、ここは旅館だ。

 料理の準備もゴミ出しも、全部従業員さんがやってくれる。

 まさに至れり尽くせりである。


「ま、その分安くないお金を払ってるんだけどねぇ」


 長期滞在となると、宿泊費も馬鹿にならない。

 近年はインバウンドの増加で、ヘイジオ皇国の物価は異常に高騰している。


 マグロやウニが乗った海鮮丼なんて一万円超ですよ、一万円。

 そんなの誰が食べるのと思うけど、これが毎日飛ぶように売れているらしい。


 昔はこんなに高くなかったのに。なんだかおかしな世界になっちゃったね。

 って、どんだけ昔の話だよ!


「ふへっ」


 脳内一人ボケツッコミが思ったより面白くて、つい吹き出してしまった。

 その時、ふと横に目を向けると。


「……お夕飯をお持ちしました」

「あっ……」


 夕食を持ってきてくれた女将さんとばっちり目が合った。


 ヤバい、完全に危ないヤツだと思われた〜!


「あば、あばばばば」


 パニックのあまり精神が崩壊し、目を回すリティー。


 だが、女将さんも流石はおもてなしのプロ。

 そんなリティーの様子を気にも留めずに、淡々と配膳を行う。


「こちら熱いのでお気を付けください」

「アッ、ハイ」


 最後、鍋の説明をされたところでリティーは我に返った。


 ようやく会話が出来る状態になったところで、女将さんが別件を伝える。


「そうそう。そういえば今日の昼間、十四時くらいだったかしら。あなたに会いたいって訪ねてきた人がいてね。まだ寝てるって答えたら、今度また来るって言って帰っていったわ。名前は聞かなかったのだけれど、もしかしてお知り合い?」

「い、いえ。この国に知り合いなんて、いないです……」


 こ、怖い。誰〜っ!?


 リティーは心の中で、皇都中に響き渡るほどの大絶叫をした。

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