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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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144/155

異117系統 トー交易路〜スィナ川〜キアワ崎〜ユオーコ浜

2025年9月3日にカクヨムで公開したものです。

 それは、突然の出来事だった。


『次はシウ橋。バスのすぐ前や後ろの横断は非常に危険です。バスの発車後、左右をよく見て横断しましょう。……次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』


 私はいつも通りにバスを運転していた。


 降車ボタンが押されたので、次の停留所が近づいてきたタイミングでブレーキを踏む。

 所定の位置にぴたりと停めて、後扉を開ける。


「どうもねぇ」

「はい、ありがとうございました」


 お客さんが降りるのをミラー越しに確認して、扉を閉める。


「発車します。お掴まりください」

『次はスィナ川。走行中、止むを得ず急停車する場合があります。お立ちのお客様は、吊り革、手すりにお掴まり下さい。車内事故防止にご協力をお願い致します』


 それから、アクセルをゆっくりと踏み込んで発進。

 同時に操作ボックスのボタンを押して次の停留所を案内する自動音声を流す。


 ここまで定刻で運行できてるし、トラブルも無し。

 うん、順調順調。


 と、そんな風に私は気分よくハンドルを握っていたのだが。


 その時、平和な日常を揺るがす大事件が何の前触れも無く起こった。


 乗客の子供が、空を指差して言う。


「ねぇお母さん、何あれ? なんか空飛んでるよ?」

「ん? あ、本当だ。鳥、じゃないわね。何かしら?」


 私も気になって、ちらりと空に目を向ける。


 すると、確かに上空を何かが飛んでいた。それも六つ。

 明らかに鳥やドラゴンの類いではない。


 恐らく、あれは……。


 私が日本で何回か見たことのあるものを思い浮かべたと同時、その飛んでいたものが何かを落とした。


 嫌な予感がする。


「急停車失礼します!」


 直感に従って、私は躊躇なくブレーキを踏んだ。

 お客さんが前につんのめって、何事かとざわついた途端。


 ドーン!

 遠くの方で爆発が起きた。


 数秒後、衝撃波が伝わってきてバスの窓が震える。


「えっ、何?」

「おいおい、建物が吹っ飛んだぞ」


 騒然となる車内。


「落ち着いてください。状況を確認します」


 私は乗客がパニックにならないよう冷静な声音でアナウンスしつつ、改めて空を見上げる。


 間違いない。やはり、先ほど空を飛んでいたのは戦闘機だ。

 そして、今の爆発は戦闘機が落とした爆弾によるもの。


 これがクーデターの始まりだと知ったのは、どうにか無事に営業所に戻った後のことだった。

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