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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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異13系統 ゴッダント鉱山〜ナルミヤーナ村〜王城東門〜王城前

2023年3月8日にカクヨムで公開したものです。

『本日も埼京交通バスをご利用頂き、誠にありがとうございました。次は王城前、終点です。お忘れ物、落とし物なさいませんようお気を付け下さい』


 終点に到着し、前と後ろの扉を同時に開ける。


「終点の王城前です。ご乗車ありがとうございました」


 アナウンスを告げると、ぞろぞろと乗客が降りていって途端に車内が静かになった。


 本来ならこのタイミングで忘れ物や落とし物が無いか車内確認をするのだが、今このバスが停まっている場所は人や馬車の往来が非常に多い。長時間停車していると迷惑になってしまう。

 そのため、ここが終点の場合はバスを操車場まで移動させてからその作業を行う。


 車内に誰も残っていないことをミラー越しに確かめて、私は前と後ろの扉を閉めた。



 操車場に入ってバスを停め、一度エンジンを切る。


 運賃箱を動かして運転席から立ち上がった私は、車内をゆっくりと歩き始めた。

 椅子の上や床に何か落ちていないか、前の方から順に入念にチェックしていく。


「うん、ここまでは何も無し」


 優先席や一人掛け座席の辺りに落とし物は無かった。

 ステップを一段上がって、次は後方の二人掛け座席を……。


「きゃあっ!?」


 その時、私は思わず叫び声を上げた。

 後ろから二列目の左側の座席の隙間に、人間の足が見えたのだ。


 えっ、見間違いじゃないよね……?


 そ〜っと覗き込んでみる。

 するとそこには、二人掛けの座席で横になって眠る少女の姿が。


「お、お客様!? 大丈夫ですか!?」


 まさかまだ人が残っていたとは。

 慌てて声を掛けると、彼女は目を覚ましてびくりと起き上がった。


「あっ! あっ、えっと……! ここどこですか?」

「操車場です。すみません、降ろし忘れてしまって!」


 謝る私に、少女も窓の外を見るや焦った様子でぺこぺこと頭を下げる。


「あっ、こちらこそすみません! すぐ降ります! 本当にすみませんっ!」

「いえ、気付かなかった私が悪いんです。申し訳ございません!」


 しばらくの間二人で謝罪合戦を繰り広げる。


「ご迷惑おかけして、本当にすみませんでした!!」


 それから少女は学生鞄を手に取って、バスを降りようとした。


 しかし、操車場まで乗せてきてしまったのはこちらのミスだ。ここで降ろすのは可哀想に思える。


「あのお客さん、ちょっと待って下さい」


 私は彼女を呼び止める。


「もしよろしければ、王城前までお送りしましょうか?」


 その言葉を聞いた少女は、一度は遠慮して断ろうとした。

 けれど私も引き下がらずに「別に大した距離じゃないですから。ほんのお詫びです」と言い続け、最終的には彼女を終点のバス停まで送り届けたのだった。


 こういうこともあるから車内確認は本当に大事なんですよ。

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