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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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異12系統 王都北門〜ムグルム高原〜ニャラルカ村〜ネルタールの泉

2023年3月1日にカクヨムで公開したものです。

『次はムグルム高原。お降りの方はブザーでお知らせ下さい』


 青々とした草が生い茂った高原の中央を通る一本道。どこまでもひたすらに真っ直ぐと伸びるニャラルカ街道をバスは走る。


 停留所が近づいてくると、お客さんが一人待っているのが見えた。

 ゆっくりとブレーキを踏んで徐々に速度を落とし、バス停のポールにぴたりと合わせて停める。


「ネルタールの泉行きです」


 アナウンスしながら扉を開けると、小さい女の子がぴょんと飛び乗ってきた。


 頭の上には猫耳が生え、ワンピースのスカートの下からは尻尾が伸びた黒髪の幼女。

 猫耳娘だ! めちゃくちゃ可愛いっ!!


 バスに乗るのは初めてなのか、戸惑った様子の猫耳少女に私は笑顔で優しく話しかける。


「お姉ちゃん、お金持ってるかな? 110ゴールド」


 すると、彼女はなぜか少し怯えた表情を浮かべながら恐る恐る口を開いた。


「あ、あのっ……。この前、動物はバスに乗れないって、聞いた……。だから私も、乗っちゃダメ……?」


 問われて私は、何のこっちゃと首を傾げた。

 そしてすぐに思い至る。


 ああ、ペットの車内持ち込みの話か。


「ダメじゃないよ。大丈夫」


 猫耳少女はほとんど人間の女の子なので、動物の猫という扱いにはならない。


「ホント? ホントにホント?」

「うん、本当だよ。だってお姉ちゃん、壁で爪研いだり、飛び跳ねて暴れたりしないよね?」

「わたし、そんなことしない!」

「じゃあ大丈夫」


 言い切ると、黒猫の女の子は耳と尻尾ををピンと立てて嬉しそうに笑った。

 金貨を運賃箱に入れて、ルンルンと一人掛けの席に腰を下ろす。


『発車します、お掴まり下さい』


 扉を閉め、バスを発進させる。


『次はパルノー川公園。お花見や水遊びなどが家族連れで安心して楽しめる、パルノー川公園はこちらでお降り下さい。次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』


 そのあと猫耳少女はニャラルカ村の停留所でバスを降りたのだが、降りる間際に「乗せてくれて、ありがとう!」と微笑んでくれて、私の心はとてもとても癒された。

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