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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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異99系統 キョクヴー寺〜王国魔法博物館〜ツキカゲモール〜ラフォク新市街BT

2025年2月26日にカクヨムで公開したものです。

『本日も埼京交通バスをご利用頂き、誠にありがとうございました。次はラフォク新市街バスターミナル、終点です。お忘れ物、落とし物なさいませんようお気を付け下さい』


「終点、ラフォクバスターミナルです」


 終点に到着し、前と後ろの扉を両方開けると、乗客がぞろぞろと順番にバスを降りていく。


 そんな中、一人掛けの席に座っていた三十代くらいの男性が、立ち上がった瞬間にいきなり「うっ」と呻いて倒れた。


「わあっ、お兄さん!?」

「大丈夫ですか!?」


「あっ、お客様!? どうされました!?」


 異変に気付いた乗客の声に、私も慌てて運転席から立ち上がる。


 急いで駆け寄ると、男性は床に倒れたまま微動だにしなかった。


 呼吸も無い、脈拍も無い。

 心肺停止状態だ。


「早く何とかしないと!」

「いや、僕やり方分かんないっすよ! 御者さん、出来ます?」


「えっとっ、少々お待ちくださいね。今AED持ってきます」


 埼京交通バスではお客様が急に心停止状態になった場合に対応するために、全ての乗務員が救命救急講習を受講している。

 加えて、路線バスの全車両にAEDを設置している。


 私は講習で習った手順通りに救命処置を行う。

 AEDを男性に装着し、音声の指示に従って胸骨圧迫を開始。

 周りの乗客にも協力してもらいつつ、人工呼吸や電気ショックなども繰り返し続ける。


 だが、なかなか男性の意識は回復しない。


 私とお客さんの力では、助けられないのか。

 救急車を呼ぶことも出来ないこの世界では、急病人に対して私はあまりにも無力だ。


 もう無理だと絶望しかけたその時、開けっぱなしになっていた前扉から白衣姿の女性が乗り込んできた。

 女性はこちらに歩み寄ると、AEDを操作する私に向かって告げる。


「急患か。診せてみろ。救命と究明は私に任せておけ」

次回「異99−H系統」に続く

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