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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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116/155

異98系統 王城前〜ウィリアニス中央市場〜王都西門〜ニサーラ井堰

2025年2月19日にカクヨムで公開したものです。

『次は王都西門。走行中、止むを得ず急停車する場合があります。お立ちのお客様は、吊り革、手すりにお掴まり下さい。車内事故防止にご協力をお願い致します』


 王都の街路は人通りも多く、特に慎重に運転をしている。

 それでも全ての危険を完璧に予測するのは難しい。


 もうすぐで次の停留所に到着する。

 降車ボタンは押されていない。通過で良いのだろうか。


 と、一瞬だけ別のことに気を取られていたら、目の前に男性が飛び出してきた。


「わっ!」


 私が慌ててブレーキを踏むと、バスは急停車。

 立っていたお客さんはよろめいたが、全員が吊り革に掴まっていたため転倒は免れた。


 どうにかギリギリ、轢かなくてよかったと前を見る。

 しかし。


「あれ……?」


 なぜかそこには誰もいなかった。


 確かにさっき、建物の隙間から男の人が飛び出してきたと思ったんだけど……。

 気のせいだとは思えないのだが、事実としてそこには誰もいない。


 まあ、何も無かったのだから良しとしよう。


「急ブレーキ、大変失礼いたしました」


 謝罪のアナウンスをしつつ、私は再びバスを発進させた。



 そして、次の停留所に到着。

 待っている人がいたので前扉を開けると。


「えっ!?」


 なんと乗り込んできたのは、さっき飛び出してきたはずの男性だった。


 男性はSuicaのカードをかざしながら、驚いて固まる私に言う。


「運転手さん。俺、何か間違ってます?」

「い、いえ。精算は出来てます……」

「んじゃ、早く出発してくれねぇか? ちょっと急いでるんだよ」

「あっ、すみません」


『発車致します。お掴まり下さい』


 前扉を閉めてバスを発進させると、窓の外を見ていた男性の独り言が聞こえてきた。


「ふぅ、やっとあいつらから逃げられたぜ。結局、このバスに轢かれて死んだのが一番つらかったな。ありゃ二度目のループだっけか」


 ん? やっぱり私、お客さんのこと轢いたんですか……?



 終点に到着した後、一応車体の点検を行ったが、人を轢いた痕跡はどこにも無かった。

 う〜ん、あれは本当に何だったんでしょうか。謎だ。

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