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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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回送(回想) 美神の魔法は絶対

2025年2月5日にカクヨムで公開したものです。

 ザカリ正教の執行人であるクシーディは、数ヶ月前の修道院襲撃事件の際に負った怪我がようやく完治し、今日が職務復帰の日。


 いつも通りの深いスリット入りの修道服姿でクシーディは修道院にやって来た。


「おはよう。みんなには迷惑かけたわね」


 第一声、まずは仲間に挨拶と長期間不在にしていたことの謝罪をする。


「…………」

「…………」


 しかし、なぜか誰からも反応が無い。

 仲の良かった同期も、何かと気にかけてくれる先輩も、全員が無言で知らんぷり。


「あれ? ねぇ、みんな?」


 最初はクシーディをびっくりさせようと、冗談でわざとやっているのかと思った。

 でも、そうではなさそう。


 どう見ても、明らかに様子がおかしい。

 まるで自我を失ってしまっているような……。


「一体、何が起こっているの……?」


 目の前に広がる異様な光景を訝しんでいると、不意に背後から途轍もなく強い魔力を感じた。


 今までに経験したことのない強大で凶悪な魔力に、クシーディは背筋がゾッとなり体が震える。


「誰……!?」


 それでもどうにか後ろを振り返ると、そこに立っていたのは一人の少女。

 黒髪黒瞳、透き通った白い肌。服装はセーラー服。


 彼女は間違いなく、異世界人だ。

 それも、チートレベルの。


「これ、あなたがやったの?」


 仲間の様子が変なのはあなたのせいか。

 そう問うたクシーディに、少女は感情の読めない無表情で答える。


「うん、そうだけど。あれれ? 君はどうして操り人形になっていないんだい?」


「あなた、異世界人よね? 最近転生してきたって感じじゃなさそうだけど、何者なの?」


「あぁ、なるほど。そっかそっか。君はあの時意識不明だったから、あたしのこと知らないんだ。じゃあ教えてあげる。……あたしの名前は佐藤さとう美神みかみ。千年前の勇者様だよ」


 まさか。

 彼女の口にした言葉に、息が詰まる。


 千年前に魔王を倒した勇者、佐藤美神が、まだ生きていたなんて。

 半ば信じられないが、彼女の放つ魔力の強さが十分すぎるほどにそれが事実であることを証明していた。


 驚愕し畏怖するクシーディの反応を見て、美神は小さく口元を歪める。


「素敵なリアクション、どうもありがとう。あたし、君のこと結構好きかも。ただの人形にしちゃうのは惜しいから、特別に自律人形にしてあげるね」


 刹那、聖書の本扉に書いてある文言がトリガーとなり、魔法が発動する。


『この世界は神の思い通り』


「あれ、私……」

「君はあたしのジョーカーだ。出番までは自由にしてていいよ。あたしの邪魔をしない範囲でね」

「はい、分かりました」


 こうして結局、クシーディも美神の支配下に置かれてしまった。

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