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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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111/155

異94系統 ウォージ遺跡〜キャミヌマータダンジョン〜王都西門〜王城前

2025年1月15日にカクヨムで公開したものです。

『次はキャミヌマータダンジョン入口。お互い様の国づくり、孤立解消大作戦実施中。ご近所で気がかりな高齢者にお気付きなら、お近くの騎士団詰所へご連絡ください。皆様のちょっとした気遣いが、国民の絆を強めます。王国騎士団でした』


 次の停留所が近づいてくると、待っているお客さんの姿が見えた。


 すっかりと運転にも慣れたトランセは、乗客のことも意識してブレーキを踏む力を加減する。

 ゆっくりと減速して、停車。


「王城前行きっす」


 車外放送スピーカーでアナウンスしつつ前扉を開けると、まず乗り込んできたのは冒険者のパーティ。


「最後のモンスター、他の人に取られちゃったのでお金がありません……」

「あたしも、お財布からっぽだよう」

「任せとけって。今回は俺が払ってやるから」


 どうやら金欠らしい仲間の少女に代わって、リーダーと思しき男性がパーティメンバー全員分の運賃を支払うと、彼らは後方の座席に固まって座った。


 続けて、フードを被っていて顔の見えない冒険者が一人。

 運賃をタッチ決済で支払うべくスマホを取り出そうとして、手を滑らせた。


 刹那、その冒険者のスマホが運転席にすっ飛んできた。


「おっと。大丈夫っすか?」


 トランセが華麗にキャッチして冒険者に返すと、その時一瞬だけフードの下の顔が見えた。


 漂う風貌からてっきり男性だと思っていたが、正体は意外にも可愛らしい女性だった。

 でも、どっかで見たことあるような?


「すみません、ありがとうございます……」


 ソロ冒険者の女性は慌ててスマホを受け取ると、それをICカードの読み取り部にかざした。

 カードリーダー側の『ピピッ』という電子音と、スマホの『ピーン』という決済完了音が重なる。


 トランセは女性冒険者が運転席真後ろの一人掛けの席に座ったのを確認すると、前扉を閉めてバスを発進させた。


『次はクォーホック陸橋下。……次、止まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』


 しばらくバスを走らせていて、ふと思い出した。


 そうだ、さっきのソロ冒険者の女性。

 どっかで見た顔だと思ってたが、ギルドの受付嬢だ!


 トランセはバスの運転手になる前は冒険者をやっていたので、彼女のこともよく覚えている。


 けど、なんで受付嬢がダンジョン潜ってんだ?

 確かギルド職員は副業禁止だろ?


 しかし、モヤモヤが一つ解消されたと思ったら、別のモヤモヤが増えてしまった。

 意味ねぇ。

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