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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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異90系統 ウィンタリナー街道〜ウェセー女学園前〜ツキカゲモール〜ラフォク新市街BT

2024年12月11日にカクヨムで公開したものです。

『次はウェセー女学園前。バスのすぐ前や後ろの横断は非常に危険です。バスの発車後、左右をよく見て横断しましょう』


 次の停留所は女子校の目の前にある。

 ちょうど下校時刻ということもあって、バス停には女子高校生の長蛇の列が出来ていた。


「お待たせしました、ラフォクターミナル行きです」


 車外放送スピーカー越しにアナウンスしつつ、前扉を開ける。

 すると、制服姿の少女たちがぞろぞろと乗り込んできて、瞬く間に車内はぎゅうぎゅうになった。


「発車します」


 全員が乗車したのを確認し、扉を閉めてバスを発進させる。


『次はツキカゲモール。……次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』


 それからしばらくバスを走らせていると、不意に車内から「キャッ!」という叫び声が聞こえてきた。

 続けて、一人の女子高生がひどく怒った様子で言う。


「ねぇあんた、今スカートの中撮ったでしょ?」


 彼女が疑いの目を向けたのは、すぐ後ろに立ってスマホをいじっていた会社員と思しき男性。


「撮ってねぇよ」

「いいや、絶対撮った! そのスマホ見せてみなさいよ!」

「何でだよ、撮ってねぇつってんだろうが!」

「はぁ!?」

「あぁ!?」


 盗撮を疑う女子高生と反論する男性はお互いにどんどんとエスカレートし、言い争いに発展してしまった。

 騒然となる車内。

 これは見過ごせない。


 私は一度バスを路肩に寄せ、ゆっくりとブレーキを踏んで停車させると。


「お客様、落ち着いてください。どうされましたか?」


 運転席から立ち上がり、対応に向かおうとした。


 しかしそれよりも一足先に、猫耳と尻尾の生えた少女が男性に掴みかかった。


「あちし、お兄さんが盗撮したとこ見てたニャ。自分の欲望を満たすためだけに異性を傷付けるなんて、最低のオスだニャ。さっさと降りるニャ」


 刹那、猫の少女が盗撮男を軽々と持ち上げる。


「おいっ、何するんだテメェ!」


 喚きながらじたばたと暴れる男性を抱えながら、猫の少女がこちらを見て一言。


「運転手さん、ここのドアを開けるニャ」

「えっ? あっ、はい」


 言われるがままに、私はレバーを操作して後扉を開けた。


「んじゃ、ばいにゃら〜」

「うわあっ!」


 扉が開いたと同時、猫の少女が男性を投げ飛ばす。

 男性は歩道を転がり、建物の壁に激突した。


「運転手さん、閉めていいニャ〜」

「待て御者! 降ろすならそっちのネコだろ!」


 扉を閉める。


 車内に平和が訪れると、乗客たちから猫の少女に賞賛の拍手が送られた。

 そんな中、盗撮被害に遭った女子高生が深々と頭を下げる。


「ありがとうございました!」

「別に、大したことはしてニャいニャ」

「あの、お名前を聞いても?」

「あちし? あちしはマーチ。ムーンサルトのナンバースリーだニャ」


 こうして、トラブルは無事(?)に解決。

 私はバスを再び発進させた。



 後日、王城の執務室。

 テレビのニュース番組を観ていた女王スピカは、官房長官のセトを呼んだ。


「ねぇセトちゃん、ちょっといいかな?」

「はい、何でしょう?」

「あのね、なる早でスマホ関連の犯罪を取り締まる法律を作ってほしいんだ。盗撮に罰則が無いのって、問題大有りじゃん?」



 日本ではバス車内に限らず、スカートの中の盗撮は性的姿態等撮影罪となり、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金が科せられます。

 盗撮、ダメ絶対!

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