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About You  作者: 遠藤 敦子
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 翌日の仕事終わり、私は大室さんと一緒に帰ることになる。最初は他愛もない話をしていたが、人通りが少なくなってきたころに告白を受けた。

「実は入社してきた時から村岡さんが好きだったんだ……。12歳離れてるし離婚歴もあるけど、こんな俺で良かったら彼女になってください」

断る理由などなかったので、私は大室さんの告白を受け入れる。今まで恋愛経験が皆無だったけれど、こんな私にも初めての恋人ができて嬉しくてたまらなかったのだ。

 付き合い始めてから、私たちはお互いをあだ名で呼び合うようになった。私は鈴という名前をもじって「すーちゃん」、大室さんは博之という名前をもじって「ぴーちゃん」という呼ばれ方になったのだ。もちろん社内ではそんな呼び方はしないけれど、プライベートだけの特別な呼び方だった。

 それからぴーちゃんは私を今まで知らない世界へと連れて行ってくれるようになる。一緒にディズニーランドに行ったときは、私がミニーマウスでぴーちゃんがミッキーマウスのカチューシャをした。年甲斐もなく恥ずかしかっただろうに、私の提案に付き合ってくれたのだ。また別の日はレンタカーを借りて隣県にドライブに連れて行ってくれ、綺麗な夜景を見せてくれたこともある。

 さらにある冬の誕生日でも記念日でもクリスマスでもない日に、ぴーちゃんがジェラート・ペケのルームウェアをくれた。上下合わせて総額で12,000円はしたのではないかと思う。私は戸惑いながらもお礼を言い、「高かったでしょ? なんでここまでしてくれるの?」と訊いてしまった。するとぴーちゃんは「すーちゃんが風邪ひかないように、寒い思いしなくて良いようにって言う思って」と笑っている。男の人ってこんなに良くしてくれるんだ。私は完全に驚いていた。



 私の誕生月である3月に、ぴーちゃんから「すーちゃんはアクセサリーとかしないの?」と訊かれる。私が「そういうの持ってなくて……。何が似合うとかよくわかんないし」と言うと、ぴーちゃんは「俺がネックレス買ってあげる」と申し出た。

「いやいや、いいよ。そんな高いお金使わせるわけにもいかないし」

私が断るも、ぴーちゃんは「俺がそうしたいだけだから」とのこと。私はぴーちゃんの言動を本気で信用はしておらず、どうせ口だけだろうと思っていた。

 しかし私の誕生日である3月15日に、休みであるぴーちゃんから私の仕事終わりに駅で待ち合わせしようとLINEが来た。誕生日のお祝いでご飯にでも連れて行ってくれるのかなと思っていたので、いつもの私服以上に気合いを入れて出勤する。

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