モーガンは虐待していた?!
自分がラプンツェルの世界の悪役、モーガンに転生したと知った謎迷。
もちろん、転生したばっかの謎迷は、この世界のことは童話の世界っぽいってことぐらいしか知らん!
知らんもんは知らん!
謎迷も転生ものの、ラノベとか漫画とかをよく好んで読んでいたが、まさか自分が転生する日が来るなんて夢にも思わなかったな!!!
ハハハノハ!!
とりあえず今、謎迷がやるべきことは3つだ!
一つ!状況の把握!
二つ!ラプンツェルと仲良くなる!
三つ!ラプンツェルをもとの家に返す!塔の外に出す!
以上!
謎迷ことモーガンの、今するべきことが決まり、キリっとラプンツェルの方を向く。
「ラプンツェル?」
「! は、はい!」
謎迷がラプンツェルに声を掛けると、幼子はびくりと体を震わせ、慌てて返事をした。
ラプンツェルは顔を青ざめ、突然、謎迷に向けて土下座をしてきた。
「申し訳ございません!」
「え」
「鞭打ち、断食、不眠、どのような罰であってもこの私は慎んでお受けいたします!」
「鞭打ち⁉」
え、ナニコレ?
なんで謎迷がラプンツェルに体罰をするって展開になってんの⁈
ラプンツェルが何かしたの⁈
いやいや、たとえどのようなことがあっても幼子を虐待はダメだろ犯罪だよ!
――もう、いいって!顔を上げておくれ、ラプンツェル。――
「・・・いつまでもお前は地面にはいつくばっているつもりか?」
⁉ why???
謎迷は決してラプンツェルにこのような言葉をかけるつもりはなかった。
この口が勝手に違う言葉を発したのだ。
ラプンツェルはこの言葉を聞き、傷ついただろう。
咄嗟に謎迷は謝罪をしようとした。
――ごめんっ――
「・・・ふんっ」
謝罪しようとしたが、今度は口を開くことが出来ず、かわりに鼻を鳴らしてしまった。
そうか、わかったぞ、きっとこの世界の原理で、謎迷が話そうとした言葉はこの世界のモーガンの言葉に変換されてしまうのだ。
考えてみれば、簡単なことだった、急激なキャラ崩壊なんてしたら、読者は不振に感じるだろう。
よーするに、クールで真面目な恋人が、突然きゃぴきゃぴしだしてあほになったらいやだわな、ってことだろう。
ラプンツェルはポカンとしてしばらく謎迷のことを見上げ、そそくさと部屋から出ていった。
自分一人になった部屋の中で謎迷は、はぁとため息をつく
「帰りたいなぁ」
謎迷がここにいるということは、日本での謎迷はもう、亡くなってしまったのだろうか?
そうだとしたらきっと、窒息死だろうなぁ。
せっかく第一志望大学に合格できたのに。
これから晴れやかな未来が待っていたはずなのに。
謎迷は泣きたくなった。
これから謎迷はモーガンとしてこの世界で生きることになるだろう。
この世界のモーガンには幸せな結末は、果たして存在しうるのだろうか?
「神様さんよ、そちらの都合で謎迷はモーガンなんかに転生してるんだから、もっと融通が利いてもいいと思うのだが?」
「もっとこの世界の事教えてくれよ!謎迷は死にたくないんだ!」
「う~!バカバカバカバカ!!!!」
「こうなったら今からでも塔の上から落ちて、死んで、もう一度転生してやるぅ!」
謎迷は少しでも現実逃避がしたくて、少しも信じていない神に向けて駄々をこねた。