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冒険者

異世界初日、無事に街に辿り着き、冒険者登録を行い、宿屋で一泊。


朝、食堂の賑わいで目を覚ました。


「…日本に帰ってる、全部夢でした、なんてことはなかったか…。仕方ない、飯を食ってギルドにいくか」


朝食はパンとステーキだった。聞いてみると、グレイトボアという猪らしい。1人で狩れれば一人前の狩猟者と言われるEランクの魔物で、肉が美味のため専門で狩る冒険者もいるらしい。実力や才能がそこまで無いが、きっちりリスク回避した中級者が主らしい。

下位にビッグボアというのもいる。こいつはFランクで、少し味は落ちるが値段も安いので人気らしい。


「うまっ。塩胡椒もしっかり効いていて、肉も柔らかい。高級ステーキ顔負けだなぁ…」


美味どころか、激ウマ!

繊維は硬くないのでナイフでサクサク切れる。それでいて柔らか過ぎず適度な噛み応えがあり、噛むと旨味が溢れてくる。日の通りはミディアムとウェルダンの間くらいだろうか。きっと調理も一流なのだろう。


「流石に毎日出るわけじゃないけどね。冒険者デビューした子がウチを選んでくれたっていうから、餞別だと思っておくれ」


女将さんかな。素直に感謝しよう。


「ありがとうございます。とても美味しいです、また食べたいですね」


「あらありがとう。良い子だね。メニューとしても置いてあるから、泊まらなくても食べにおいでよ」


「はい、そうします」


指差す方向を見ると、10ベルらしい。他の食事は3〜7ベル程度。そもそも宿代が25ベル。なるほど確かに少し高い。ありがたく頂こう。

ついでに昼飯用に保存食として干し肉ぎ2ベルで購入した。



朝から素敵なステーキを頂きやる気マックスになったので、そのままギルドに来てみた。昨日訪れた時と違い、依頼掲示板に群がる冒険者で混雑している。

その中で気になった依頼は、やはり?と言うべきか、ゴブリン討伐だった。

常時依頼らしいが、今は数が増えていて追加報酬があるらしい。右耳を切り落とすことで討伐証明になるようだ。

東の森にいるらしいので、探してみよう。

薬草…ヒール草の収集もあったので、ついでにこれも頭に入れておこう。常識さんが見た目を教えてくれたので、取れるはずだ。



装備は神様産の剣と、普段遣いの洋服。冒険者舐めてるのか、と思われそうだが、資金の都合上仕方がない。東の森に向かってみよう。



「駆け出し冒険者のソロか。装備も貧弱だし無理だけはするなよ。やられそうになったら街道まで逃げてこい、何とかなるはずだ」


やはり門番さんからしっかり忠告を受けてしまった。気を付けないと。



…10分ほど歩くと木が増えてきた。まだ森というほど鬱蒼としていないが、常識さん曰くここが東の森の浅層らしい。ここはゴブリンやビッグボアくらいしかいないとのこと。奥まで行くとオークやオーガも出てくるので行かないように注意する。



「しかしゴブリン、どうやって探すんだ…?効率悪くないか…?探知系スキルを取得するべきだったか…」



浅層を30分ほど歩いても、ゴブリンや魔物と一度も遭遇していない。ヒール草だけ若干量採取したくらいだ。


「何もないと疲れるな…集中力も持たないぞ」


更に30分、しかし何も手掛かりなし。常識さんに聞いてみると、大量発生でもしていない限り、数時間に1度、数匹の群れと遭遇する程度らしい。


「これは本格的に探知スキルが欲しいな…効率が悪い」


スキルを見ていると、以下のスキルを見つけた。


20 生命探知

20 魔力探知

20 罠探知


「これは欲しい。生命探知があれば魔物狩りの効率が上がる。魔力探知も魔法を使う相手をする際は役に立つだろうし、罠探知はダンジョンに行くなら必須だよな」


20ならきっと、そこまで苦労せず取れるのでは…と言う気がしてきた。ゴブリン頑張って探そう。



…更に1時間、合計2時間ほど森の浅層を彷徨って、やっとゴブリン3匹の群れを見つけた。

遠目に見る限り、棍棒以外は何も持っていない。そして幸い、背後を取っている。



隠密行動、発動。

…しているのか分からないが、気持ち足音が減ったような気がする。


鑑定、発動。

…不発。遠すぎたか。近寄ろう。


幸い行進速度は遅いので、隠密行動発動…してるつもり…でもどんどん近づいていけている。

10mを切ったくらいで鑑定が発動した。


ーー

ゴブリン

ーー


説明もクソもないが、上位の存在ではなく、ただのゴブリン3匹と言うことが分かっただけで十分だ。

人型の身長およそ80cm程度、痩せ型の濃い緑。角ばった関節。初めての殺生だが躊躇なくやれそうだ。


隠密行動で前後に並ぶ最後尾のゴブリンまで1mくらいまで近づけた。

剣を抜く。

躊躇なく首に向けて横に一閃。

肉と骨を断つ生々しい感触と、首の半分くらいで止まってしまった剣。


うわぁ…やれると思ったけど、中々きつい…。


斬りつけたゴブリンは、流石に死んだようだ。残りの2匹が気付いてこちらに向かってくる。

慌てて剣を引き抜き、対峙する。

相手は近くにいる1匹だけ棍棒を持っていて、それで襲いかかって来た。


…が、流石に遅いし大振りのため、サイドステップで回避し、袈裟斬りを決める。念のため倒れたゴブリンに一突き。残り1匹。


「なんだ、意外と余裕じゃん…!?」


最後の1匹が、激怒して石を投げつけて来た!

初めての戦闘で2匹をあっさり倒せたことで油断してしまった。

慌てて顔付近を腕で守るが、いくつか命中する。顔面直撃は避けれたようだ。


「いってぇ…くそ、やられた。もう油断しない」


投げ終わった隙にダッシュで近付き、袈裟斬り。心臓ぽいところを突き。何とか仕留めれた。錆びてるけどいい切れ味だ。


「戦闘終了!いてて、最初から投石されていたら不味かったな…3匹が今は限界だろうな…。怪我や服に損傷なし。擦り傷はそのうち治る。

 スキルポイント増えてないかな…!?」


スキルポイントが2になっている!

これは、来た。もう2も溜まってるとは!

1匹1だったら流石にぬる過ぎる、徐々に減っていくのだろうけど、探知も意外とすぐ取れるのでは…?

耳を切って、次を探しに行きましょう。



…30分ほど歩いていたら、2匹のゴブリンを発見した。

途中、火魔法を試していたが、小さい火の玉を発射する程度しか出来なかった。殺傷力としては微妙だろう。

続けて飲み水を生成して飲んでいると、魔力を体内で感じられるようになって来た。いい傾向だと思う。

水魔法で水生成するのと同じ感覚だと、火力が足りないのだろう。


2m位まで接近。隠密行動のおかげか気付かれていない。

今回は火の玉…ファイアボールとしよう…でもっと魔力を込めて奇襲を試みることにする。

2,3秒かけて魔力を注ぎ込む!15cmくらいの火の玉ができた。いけ!


ちゅどーん!


という効果音に相応しい威力。ゴブリンがマルコゲだ。

驚いたゴブリンがこちらを見て固まっている。

続けてもう一度、ファイアボールを準備していると、石を拾い始めた。先程と同じミスはしたくない、まだ溜まり切っていないが打ってしまう。


「ギィエエエーー!」


叫び声を上げるゴブリン。即死には至らず、トドメを剣で刺す。魔法剣士カッコイイ。

今回は無傷で切り抜けられた!いい調子だ。


「…完全に炭になっている…。これは耳もダメだな…」


しかし魔力を込めすぎたファイアボールで倒したゴブリンは、討伐証明すら取れなさそうだった。やり過ぎだったので、つぎは気を付けよう。

スキルポイントは、3になっていた。



それから数時間、陽が傾いてくるまでに、途中干し肉を貪りつつ、合計15匹のゴブリンを倒す事が出来た。ヒール草もそこそこ採取できた。あれ以降ちゃんと加減してファイアボールを打つ事が出来たが、最後は魔力の枯渇を感じて来たため、剣だけの戦闘に切り替えた。


スキルポイントは5になっていた。やはり鈍化している…が、十分だろう。


森から出て街道に戻り、ボーンに帰る。道中、同業者も何組かいたが、大体パーティを組んでいるようだった。



冒険者ギルドにつき、並んで受付に本日の報告だ。昨日の受付嬢さんだ。


「常時依頼のゴブリンとヒール草です」


「これを1人で!すごいですね。確認します…。ゴブリン14匹、ヒール草はこの量だと30ベルですね。現在ゴブリンは1匹3ベルですので、合わせて72ベルをお渡しします」


おお!初日にして3日分近くの宿代を稼げたぞ!

順調な滑り出しと言っていいでしょう!

冒険者初日、魔法も問題なく使えて、剣も不安だったけどスキルのおかげかスムーズに振る事が出来た。いい感じです。


明日はどうしようかな。

ギルドの蔵書も冒険者なら閲覧できるし、余裕が出来たから1日かけて魔物の情報とかをキッチリ仕入れておくのもいいかもしれない。


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