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マザー


……


最後、一体なんだったんだ。


とりあえず、マザーに来たみたいだ。

最後のやり取りのせいで、感動が薄いぞ。


目の前に街道がある。森の中じゃなかったのは幸運だ。

最初の目的にはボーンに向かおう。少し先に外壁っぽいものが見える。


太陽はほぼ真上にある。体感25度くらいの過ごしやすい暑さ。風も心地よい。地球と同じなのであれば、正午くらい。



「太陽が南、ならこの街道は東西に続いている。

 であれば西側に見えるあの外壁が、ボーン…であっているかな」



幸いそこまで遠いわけではなさそうだ。街道の安全度とかはわからないから、軽く走っていこう。



「…ん?

 おっと、なんか腰に…?」


走り始めたら、腰に違和感があったので見てみると、剣がついていた。

剣術を取得したからサービスでもしてくれたのか…?


ただ、結構さびている気がする。護身用にはなるかもしれないけど、早めにまともなものに買い替えたい。鑑定、してみるか。


ーー

鉄の剣

少し錆びているが、かなりの腕前の鍛治師が作った。

ーー


質が良いのは嬉しいが、錆びてなくてもいいのでは…?

あとポケットに銀貨が10枚入っていた。初期資金か。


「鎧も買えない初期資金と、服と剣しか勇者に持たせない王様より良心的だ」


ちなみに現在のステータスは確認できるのだろうか。

…なんて考えていると、ウィンドウが出てきたぞ。



【技能スキル】

火魔法 Lv.1

水魔法 Lv.1

剣術 Lv.1

隠密行動 Lv.1

鑑定 LV.1


【固有スキル】

魔法適正

マニュアル化

異世界の常識

異世界言語


【スキルポイント】



技能スキルと固有スキルに分かれている。技能はレベルを伸ばせるけど、固有は伸ばせないレア系ってことか?

スキルポイントは0当然だな。



走ってみると剣が意外と重たくて大変なのと、銀貨がジャラジャラして気になってしまったので、結局歩きながらボーンに向かっている。

その間ステータスウィンドウを調べたり、常識さんに色々聞いてみていた。


・ボーンでは街に入るために税金で100ベル=1銀貨かかる。

 恐らくここで詰まないように、お金を持たせてくれたのだろう。


・ボーンの周りには冒険者初心者向けの東の森、Eランク以上向けの南の森がある。また東西南北にダンジョンがあり、東以外はDランク以下向けで、致死性の罠も少ないため、ここで力を付けてから旅立とうとする若者が多くいる。

 そのため、王都程ではないが栄えており、かつ東の塔と言われるBランク以上向けのダンジョンを中心に活動しながら若者の模範となる冒険者も一定数おり、街の治安も良い。


・基本的に冒険者は数人単位で活動している。ダンジョンは規模にもよるが3~6人が適正と言われている。


・ダンジョンは未知に溢れている。単純な洞窟のようなダンジョンが多いが、なぜか光源があって明かりには困らなかったり、1つ階層を降りると空があったり、火山があったり、海があったりするが、深く考えてはいけない。

 入る前には必ず情報を入手してから行くことをおすすめしている。ダンジョンによって推奨人数も違ってくる。


・初婚の平均年齢は20歳以下。特に女性は早いことが多い。一夫多妻も、一妻多夫も、ある。実力主義のこの世界では、強い人は偉い。


・冒険者とは、農家の次男以降や孤児、夢を見ている一部の人がなるものであり、その多くが夢破れることになる。冒険者に老後はない。老いた冒険者は引き際を誤り死ぬか野垂れ死ぬか。

 老後を考えている計画的な者は、衰えた段階で次の職を見つけようとするが、手に職がないためうまくいかないことも多い。



冒険者として今後どうしようと、歩きながら常識さんと会話?していたのだが、

思った以上に冒険者の現実は厳しかったようだ。

まさか冒険者に老後はない、だなんて。確かに言われてみれば、年金なんてないし、衰えるし、仕方ないことなのか。

バリバリやれるのは20年くらいだろうか。頑張らねば。


剣も魔法も使える、いわゆる魔法剣士的な人は、少ないらしい。ただし高ランクになると少ないながらも一定数いるとのこと。

基本的には前衛と後衛、魔法職はハッキリ分かれていて、どれか一つを極める…というより、複数やる余裕なんかないらしい。そもそも魔法を使えないから選択肢がなかったり、魔法を使えるならそれを伸ばした方が良いとのこと。

俺も器用貧乏にならないように気を付けたい…が、魔法のロマンは捨てがたい。



そしてなんと、歩きながら水魔法で飲み水を作れないか試してみたが、意外と簡単に出来た。

コップ一杯くらいの水の球体をイメージしてみたら、出来てしまったよ。

試しにそのまま飲んだみたら、おいしい水でした。

火は、少し怖いから試していない。



そうこうしているうちにボーンについた。

さて…異世界から来ました、なんて言えるわけがない。設定は…農家の三男坊とかでいいか…?



「次の者!見慣れない装いだな。どこから来た?」


「えぇーと…」


あー…今の服装、今更だけどパジャマだよ。パジャマ。モコモコの。

靴は…ルームシューズだ。既に足裏部分がすり減ってきている。


「いや、まぁいい。答える義務はない。人を騙そうとしているやつには到底見えないからな。銀貨1枚はあるか?」


「はい、こちらに」


「おう、確かに受け取った。気を付けてな」


余り詮索されずに助かった。


「ありがとうございます。ちなみに冒険者ギルドはどちらにあるでしょうか?」


「街に入って真正面に歩いたら、ドデカイ建物があるから一目でわかるぞ。

 ちなみに名前だけ聞いてもいいかな」


あぁ、名前ね。マザーでは苗字は貴族しかないんだったな。常識さん万能。


「キンジといいます」


「キンジか。珍しい名前だな。頑張れよ!」


「ありがとうございます」


門番さんは温かい人だ、いい街なんだろう。

これからここで成長していけるといいな。



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