表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/27

オーク村の死闘

ノーカーズと共に20匹のオークを始末。

その後ソロで7匹のオークを始末。


残りはおそらくオークの群れ…全部で22匹。流石にこの数は1人ではしんどい。

しかし、安全マージンを確実に取るだけで、この先生きていけるのか?冒険者をしていれば、危険な綱渡りをしないといけない時が来るのでは?

そう考えると、ここは挑んでみるのも良い気がする。


ただまだ突っ込まない。光魔法の回復魔法を試してみたいからだ。

使い方はイメージできている。剣で自分の腕を斬るのは少し嫌だが、検証のためには仕方ない。ぶっつけ本番はごめんだからな。


痛っ。


さて、ここからだ、光をイメージしろ…


「ヒーリング!」


すると、ついた傷が塞がり、血も問題なく止まった。これは便利だ。

これで準備は整った。風魔法も突風を出す魔法なら覚えたから、建造物とかがあれば火を打ってから使えるかもしれない。


22匹に動きはないようだ。あちらさんは深追いはしないことに決めたようだが、こちらは殲滅するぞ。



…近くまで来た。気付かれてはいない。

藁と木の枝で出来た粗末なテントのような建物がいくつかある。この中に食糧とかを置いているのだろうか?雨風を凌げるギリギリのもののような気がする。


そして、この中にも4匹のオークの反応がある。近くまで来て気付いたが、子供か?反応が弱い奴もいる。

まとめて倒すのも少し気が引けたが、成長したら結局ああなるのだし、まとめて倒してしまおう。


ファイアボールを2つ出し、少し遠くから2つのテントに着火する。そして合わせて突風!勢いよく燃え上がった。


「ギャー!」「ブォー!」


オークの叫び声が聞こえる。闇討ちのような形と、悲鳴により若干の罪悪感があるものの、堪えよう。

探知によると子供のオーク3匹が息絶えたようだが、他は怪我をしつつも生きている。そして村全体が警戒態勢に入った。


確実に戦力になる大人を仕留めた方が良かったか…?しかし、見張りも多くて中々近づけなさそうだったしな…。

ひとまず様子を見ることにした。



しばらくすると鎮火し、8匹のオークが村の外に出てきた。これを、迎え撃とう!


それぞれ周囲を警戒しているようだ。怒っているようにも見える。これを各個撃破できたら理想だな。


ファイアボールでは目立つから、もっと矢のように絞って、貫通力重視で行ってみよう。出来るはずだ。


「ファイアボルト!」


火の弾丸がオークの左胸に突き刺さる!

一瞬断末魔をあげるが、即死だったようで、そのまま倒れた。


よし、いけるぞ。ファイアボールより魔力消費も少ない。これでまずは7匹倒そう。

そして、耳を剥ぎつつ、木の影に隠れて隠密移動しつつ、7匹のオークを倒し切った。


探知によると後は9匹…いや待て、どういうことだ!?

仲間割れか!?


9匹あったオークの反応が、8,7,6...とどんどん減ってゆく。そして1つのオークの反応がどんどん大きくなっていく。

まさか…


ーー

オークの共食い

オークが窮地に陥ると、村の最上位個体が他の個体を共食いし、その数に応じて強くなる。

その数が多いとオークリーダー、オークキングと個体を変えていくこともある。

ーー


マジかよ…それなら9匹のオークの方が良かったぞ。逃げるか?

いや、無理だな、こちらに気付いているように見える。

鑑定をしてみよう。


ーー

オークリーダー

オークの上位個体。オークの群れの中心で、燃費が悪く、維持するためにオークを共食いする。

最低でもDランクパーティー推奨。ソロならCランクの魔物。

ーー


ひゃー、なってしまったか…。

しかもDランクのパーティー推奨ってことは、やばいぞ。

かといって逃げきれそうな感じもしない。腹を括ろう。


木の多いところまで一旦退避し、ファイアボールを3つ用意する。

探知ではもうすぐそこにいる…!?


ズドーン!


急にジャンプして目の前…3mほどに現れた!!

焦って2発のファイアボールを目の前のオークリーダーに叩き込むが、倒した気配はない。

残りの一発を打つと同時にこちらに殴りかかってきた!はやい!!


バキィッ!!…ゴロゴロ…


「グゥゥ…」


声にならない痛みが左肩に走る。思い切り殴られた。10m以上は転がった。

左腕は動かない。

慌ててヒーリングするも、痛みが少しおさまり掛けたところで、オークリーダーがこちらに追い付いてしまった。


「グヘヘヘ…ジュルッ…」


やばい、やばいぞ、体制も最悪まだ立てていない。あと5mくらい、たださっきの攻撃からするとあってないような距離。


どうする?一撃で仕留めるしかないか?どうやって?

ファイアボールは火力不足、ファイアボルトは論外。

なら、なら、…複合魔法しかないか。

ドライヤーはやれたんだ、ファイアストーム…いや、ファイアブレスだな、一直線上に火炎放射を打つようなイメージだ!やれる!俺ならやれる!


「グヘヘヘ…」


向こうは勝ったと思っているな。チャンスはここしかない。いけっ!ファイアブレス!


ゴォォォォォォーーーー…

「ギャアァアァアァァァ………」


やった…のか?

そこで俺の意識は途切れた。



ーー



若干日が傾き始めた頃、目が覚めた。幸いにも寝ている間、攻撃はされなかったようだ。

オークリーダーの死体が目の前にある。真っ黒に炭化していて、見る影もない。俺がやったんだな、ファイアブレスで。

切り札になるが、燃費は悪いな…。


「いてて…」


左肩は完治していなかった。腕も動かせない。とりあえず。


「ヒーリング」


じわじわと効いてきて、20秒ほどで痛みがなくなった。

おそらく骨も折れていただろうが、回してみても違和感なく治っているように感じる。

元々人体の構造を理解しているからか、この程度の骨折であれば治せるようだ。


「防具に助けられたな、無かったら粉砕していたかもしれない」


防具のおかげで衝撃を和らげられたのだろう。助かった。

もう、オークの村はこりごりだ、しばらくは小規模な群れだけ相手にすることにしよう…。




「おかえりなさい!ノーカーズを助けて頂いたようで、ありがとうございます。彼らも改めてお礼を言いたいと言っていましたよ」


「いや、大したことじゃないですよ。それより、オークって共食いするんですね…」


「はい、そうで…まさか!オークリーダーと戦ったのですか!?」


鑑定持ちはバレるとめんどいな。


「共食いしていたのでその可能性はあるかもしれません。こちらも必死でしたが、何とか新魔法で退治できました。ギリギリでした」


「ですよね…Eランクソロで倒す事で倒すのはほぼ不可能ですので、なりかけの強個体だったかもしれませんね。耳などお持ちではないですか?」


あー…炭化していたから諦めてた。


「真っ黒に炭化してしまったので持ってきていないですね…あとこれは通常のオークです」


「真っ黒に!?あ、すみません。いや必死だったんですね…無事で良かったです。こちらはオーク、16匹分ですね。オークリーダーだと魔石が心臓付近にあるはずなので、それがあれば討伐証明になりますが…」


初耳です!


「あ…そうだったんですね。知りませんでした、次回があれば探してみますね」


「しばらくは次回がないことを祈ります…あってもソロではなくて、ノーカーズとの臨時パーティーとかであれば、倒せるとは思うのですが…」


俺もまた明日戦いたい、などと酔狂なことを言うつもりはないです。


「分かりました、では失礼しますね」


カランカラン…




「…お主、どう思う」


「いやお主って…何言ってんですかレイバンさん。2週間のルーキーが、オークリーダーなんて、倒せるわけがないです…。オークは倒せても、あそこからは別の世界です。数メートルの距離なら一瞬で殴りかかってくるスピードも、木をも薙ぎ倒すようなパワーは、勝てませんよ…」


「しかし、キンジはオークリーダーについて知らないはずなのに、確かに共食いしていたと証言した。そして打撃痕には気づかなかったか?」


「左肩ですよね。防具に殴られた様な…オーク相手にあんな不覚を取るわけはないはず…まさか、本当に!?」


「そのまさかだ。事実ルーキーは、オークリーダーに殴られつつも、魔法でマルコゲにして返り討ちにした。そしてその後気絶したが、意識が回復したあと魔法で治療した」


「それこそ、まさか、ですよ…というか見ていたんですか…。というか火だけじゃなく、光魔法も使えるの?」


「それだけじゃあねぇ。水も使えるはずさ。水を買っているところを見た事がないからな。んでマルコゲにした魔法はひょっとしたら、火と風の複合魔法かもしれん」


「いやでもそうしたら4属性の魔法使いって…それならこの成績も少し納得出来ますが…」


「魔法だけじゃない、剣の使い方もルーキーにしちゃあ上出来だ。あまり近くに行くとバレちまうから遠くからしか見れねぇがな。あれは相当だぞ…」


受付嬢とレイバンの会話は、受付に来る冒険者が文句を言うまで続いたのであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ