母の恨みのハンバーグ
ハンバーグおいしいですよね。
外食よりも、母が作ったほうがおいしいのは、なぜだろうか。
ログアウトするといい匂いがしていた。
晩御飯もうできたのかな。手伝えなかったね・・・。
時計を見ると時刻は午後六時。
私たちは春休みなことを除いても、ちょっとご飯にしては早い気がする。
そしてこの匂い。ハンバーグか。
これは、今日はお父さんは帰ってこない日だな。
うちのお父さんは時々会社に泊まり込みの日があるから。
ベッドから起き上がって体をほぐす。・・・う、結構体がゴキゴキいうなあ。
「あ、瑞樹」
「お姉ちゃん」
部屋から出たところで、瑞樹と鉢合わせする。
といっても、同じタイミングでログアウトしたから当然なんだけどね。
「今日の晩御飯何かなぁ」
「今日は、匂い的にハンバーグな気がする」
「ハンバーグ好き!外食で食べるより、うちのハンバーグの方がおいしいもん」
それは・・・、ハンバーグには、お母さんの恨みがこもってるからね。
台所に行くと、ハンバーグができていた。
そして若干、機嫌が悪いお母さんがそこにいた。
お母さん、お父さん大好きだもんね。
「もうご飯できてるわよ」
「「・・・うん」」
「瑞樹、机を拭いておいてくれる?」
「わ、わかった!」
「桜、これしまって?」
「うん・・・」
これとさされたものは何かのギフトみたいなものだった。ちなみにお父さんからだった。
なるほど。これと一緒に、帰れないってことを知らされたのか。
というか、すごいおしゃれな箱。
なんだろう、これ。開けるとそれはいろんな種類のお茶が入っていた。
珍しい。お菓子じゃないんだ。
ダージリン・・・、アッサム・・・。この辺は知ってる紅茶だ。おいしいよね。
他にも知らないお茶が入ってた。あ、これ、全部ティーバッグなんだ。
「・・・ん?カモミールティーって何?」
初めて聞くお茶だね。
どんなお茶なのかな。
「桜、しまい終わった?」
「あ、ごめん。まだなの」
「急いでね。ご飯冷めちゃうから」
「わかった。・・・ねえ、お母さん。カモミールティーってどんなお茶?」
「カモミールティー?・・・そうね、確か、白いお花のハーブティーね。リンゴみたいな匂いのするお茶だったわ」
そうなんだ。
紅茶じゃないんだあ。私にも飲めるお茶かな。
ハーブティーって好き嫌い分かれるらしいからね。
「飲んだことあるの?」
「昔、お父さんに淹れてもらったことがあるのよ」
「へえ」
この話、すごーく気になるけど、今は聞かないほうがいい気がするな。
お母さん、ハーブティーは滅多に飲まないのに。
紅茶とかは結構飲んでるけど、ハーブティーは苦手だって言ってた。
お父さんが知らないはずないのに。すごく気になるけど。
「よし、片付け終わった!・・・お母さん、ご飯食べよ?」
「・・・ふふ、そうね。食べちゃいましょ!」
リビングには食べる準備万端の瑞樹がいて。
おいしそうなハンバーグがあった。
「遅いよ、お姉ちゃん。もうおなかが空いて死んじゃうかと思ったよ」
「遅くなってごめんね。許して?」
「もう!・・許す!」
「ははー!瑞樹様!ありがとうございます!」
「二人とも、ふざけてないでご飯食べなさい」
「「はーい!」」
母の恨みがこもったであろう、ハンバーグは大変おいしかったです。
父へ頑張ってください。仕事も母のことも。
ちなみに、父の分のハンバーグはありません。
読んでくださりありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。
よろしくお願いします。