あなたはだあれ?
ワールドアナウンスが鳴った。
これで、やっと終わったなぁ。
ほっとして、崩れ落ちそうになるけど我慢する。
くるっと振り返って皆のほうを向く。
「「「「お疲れ~~~!!!」」」
示し合わせたわけじゃないけど、声がそろう。
本当に頑張った。本当に疲れた。
心が折れそうになった。だけど、諦めなかった。
少しだけ、少しだけだけど、成長できたと思う。
前の私とは、少し違う。
「あ~、このまま寝ちゃいたい」
「そうだなあ。目を瞑ったら寝そうだ」
「もう動きたくない」
「もう、三人ともしっかりしなよ」
私やガンテツさん、ヴァイスさんが疲れ切ってぐでっとしてる中、ハナミズキだけはピンピンしてる。
元気だね。
「お前、元気だなぁ」
「もう、そんなこと言ってないではやく街に帰るよ。今は魔獣が出てきてないけど、そのうち魔獣が出てくるよ。ここは、北の森の中なんだから。寝るなら、街に帰って宿屋で寝なよ」
「はあい・・・」
「あと、掲示板がいろんな意味でお祭り騒ぎになってるね」
掲示板見る元気ないよ。
・・・というか、お祭り騒ぎ?
「ワールドクエストですっごく盛り上がってるよ。いろいろね」
「ふうん」
「はやく、帰るよ~!!」
「はいはい」
こうして、私たち四人は寝ぼけ眼をこすりながら街に帰りました。
そして、そのまま宿屋に戻って、ログアウトせずそのまま爆睡したのでした。
目が覚めると、またあの白い空間だった。
うん、もう慣れたね。
『チェリー』
「ステラ様」
『ありがとう、あの子を救ってくれて』
「はい。・・・あの時守ってくださってありがとうございます。女神の寵愛の証が壊れてしまいました。それにたくさん、私を導いてくれました」
『でも、あの子を救ったのはあなたの力よ』
「はい」
『・・・たくさん、苦しい思いをさせたわね』
「でも、苦しんだ分成長できたと思います」
『そうね、あなたはとても成長したわ。頑張ったわね。本当に、ありがとう。私たちにできなかったことを成し遂げてくれて』
「はい・・・」
思わず涙ぐむ。
なんか、すごくほっとする。お母さんみたい。
『どうか、あなたの旅路に多くの幸があらん事を』
「え?」
『この子は私たちからの感謝の気持ちです』
気が付くと、目の前に女神様たちが全員いた。
特殊クエストを受けた時みたいに。
そして、光が広がる。
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・・・
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目を開けるといつもの<豚の丸焼き亭>の部屋だった。
夢?いや、でもあれは・・・
「きゅ?」
何?今の声・・・。
ヒスイの声?嫌でも、ヒスイはきゅって言わないし。
「!」(そうだよ、私じゃないよ!)
そうだよね。だったら・・・
「きゅうきゅうう!」
私の布団の中から聞こえる。足のほうが不自然に膨らんでる。
まさか・・・!
がばっと布団をめくると
「きゅきゅ!」
薄いクリーム色をした小さな兎が、透き通った碧い瞳で私を見上げた。
読んでいただきありがとうございます。
これからものんびり更新で頑張りますので、温かく見守ってください。よろしくお願いします。